超明色ダイマーまたはポリマー染料

特許
  • 【発明の詳細な説明】
    【技術分野】
    【0001】(背景)
    (分野)
    本発明は一般に、ダイマーおよびポリマーの蛍光染料または有色染料、ならびにそれらの調製法および種々の分析法における使用に関する。【背景技術】
    【0002】(関連技術の説明)
    蛍光染料および/または有色染料は、高感度検出試薬が望ましい用途に特に適していることが公知である。サンプル中の特定の成分または構成要素を優先的に標識し得る染料は、研究者がその特定の成分または構成要素の存在、量および/または位置を決定することを可能にする。さらに、多様な環境での空間的および時間的分布に関して、特定の系がモニターされ得る。【0003】蛍光法および比色法は、化学および生物学において極めて広く行き渡っている。これらの方法は、生体分子の存在、構造、距離、配向、錯体形成(complexation)および/または位置に関する有用な情報を与える。さらに、時間分解法は、ダイナミクスおよびキネティクスの測定においてますます使用されている。結果として、生体分子(例えば、核酸およびタンパク質)の蛍光または色による標識に関する多くのストラテジーが開発されてきた。生体分子の分析は、代表的には、水性環境において起こるので、焦点は、水溶性の染料の開発および使用に当てられている。【0004】高度な蛍光染料または有色染料は、このような染料の使用がシグナル対ノイズ比を増大させかつ他の関連する利益を提供するので望ましい。よって、既知の蛍光部分および/または有色部分からのシグナルを増大させる試みがなされてきた。例えば、2もしくはこれより多くの蛍光部分および/または有色部分を含むダイマーおよびポリマーの化合物は、このような化合物がより明るい染料を生じることを期待して調製されてきた。しかし、分子内蛍光クエンチングの結果として、公知のダイマーおよびポリマーの染料は、明度の望ましい増大を達成していなかった。【0005】従って、増大したモルあたりの明度を有する水溶性染料が当該分野で必要である。理想的には、このような染料および生体マーカーは、強く有色であるかまたは蛍光性であるべきであり、種々の色および蛍光波長において利用可能であるべきである。本発明は、この必要性を満たしかつさらなる関連の利点を提供する。【発明の概要】
    【課題を解決するための手段】
    【0006】(簡単な要旨)
    簡潔には、本発明の実施形態は一般に、分析物分子(例えば、生体分子)の視覚的検出を可能にする水溶性の、蛍光および/または有色の染料および/またはプローブとして有用な化合物、ならびにそれらの調製のための試薬に関する。上記染料を使用して分析物分子を視覚的に検出するための方法もまた、記載される。【0007】本発明の実施形態の水溶性の蛍光染料または有色染料は、強く有色および/または蛍光性であり、目視または他の手段によって容易に観察され得る。いくつかの実施形態において、上記化合物は、事前の照射または化学的もしくは酵素的活性化なしに観察され得る。本明細書で記載されるように、上記染料の適切な選択によって、種々の色の視覚的に検出可能な分析物分子が、得られ得る。【0008】一実施形態において、以下の構造(I)を有する化合物:

    【化1】
    またはその立体異性体、互変異性体もしくは塩が提供され、ここでR、R、R、R、R、L、L、L、L、L、M、M’、m、m、n、x、yおよびzは、本明細書で定義されるとおりである。構造(I)の化合物は、多くの適用(種々の分析法における蛍光染料および/または有色染料としての使用が挙げられる)における有用性が見出される。【0009】別の実施形態において、サンプルを染色するための方法が提供され、上記方法は、上記サンプルに、構造(I)の化合物を、上記サンプルが適切な波長で照射される場合に光学的応答を生成するために十分な量で添加する工程を包含する。【0010】さらに他の実施形態において、本開示は、分析物分子を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、
    (a)構造(I)の化合物を提供する工程;および
    (b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
    を包含する。【0011】他の開示される方法は、生体分子を視覚的に検出するための方法を包含し、上記方法は、
    (a)構造(I)の化合物と1もしくはこれより多くの生体分子とを混合する工程;および
    (b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
    を包含する。【0012】他の実施形態は、分析物を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、
    (a)RまたはRが上記分析物への特異性を有する標的化部分への共有結合を含むリンカーを含む、本明細書で開示されるとおりの化合物を提供する工程;
    (b)上記化合物および上記分析物を混合し、それによって、上記標的化部分および上記分析物を会合させる工程;ならびに
    (c)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程、
    を包含する。【0013】他の実施形態は、構造(I)の化合物および1もしくはこれより多くの分析物分子(例えば、生体分子)を含む組成物に関する。上記1もしくはこれより多くの生体分子の検出のための分析法におけるこのような組成物の使用もまた、提供される。【0014】いくつかの他の実施形態は、構造(I)の化合物およびシクロデキストリンを含む組成物を含む。【0015】いくつかの他の異なる実施形態において、サンプル中の死細胞の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は、上記サンプルと、構造(I)の化合物とを接触させ、それによって、上記化合物と上記死細胞とを結合または会合させる工程、および上記死細胞と結合または会合した上記化合物からの蛍光シグナルを観察する工程を包含する。【0016】本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照すれば明らかになる。【発明を実施するための形態】
    【0017】(詳細な説明)
    以下の説明において、ある種の具体的詳細が、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するために示される。しかし、当業者は、これら詳細なしに本発明が実施され得ることを理解する。【0018】状況が別段要求しなければ、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、文言「含む、包含する(comprise)」ならびにそのバリエーション(例えば、「含む、包含する(comprises)」および「含む、包含する(comprising)」)は、開放系の包括的な意味で、すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない」として解釈されるべきである。【0019】本明細書全体を通じて「一実施形態(one embodiment)」または「ある実施形態(an embodiment)」への言及は、上記実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の箇所での語句「一実施形態において」または「ある実施形態において」の存在は、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1もしくはこれより多くの実施形態において任意の適切な様式で組み合わせられ得る。【0020】「アミノ」とは、-NH基をいう。【0021】「カルボキシ」とは、-COH基をいう。【0022】「シアノ」とは、-CN基をいう。【0023】「ホルミル」とは、-C(=O)H基をいう。【0024】「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、-OH基をいう。【0025】「イミノ」とは、=NH基をいう。【0026】「ニトロ」とは、-NO基をいう。【0027】「オキソ」とは、=O置換基をいう。【0028】「スルフヒドリル」とは、-SH基をいう。【0029】「チオキソ」とは、=S基をいう。【0030】「アルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子(C-C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C-Cアルキル)または1~6個の炭素原子(C-Cアルキル)を有し、そして単結合によって分子の残部に結合される直鎖状または分枝状の炭化水素鎖の基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなど)をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキル基は、必要に応じて置換される。【0031】「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、不飽和を含まず、そして1~12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなど)をいう。上記アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのまたはラジカル基への上記アルキレン鎖の結合点は、上記鎖の中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキレンは、必要に応じて置換される。【0032】「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含み、そして2~12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなど)をいう。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、二重結合または単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのおよびラジカル基へのアルケニレン鎖の結合点は、その鎖中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルケニレンは、必要に応じて置換される。【0033】「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」とは、分子の残部をラジカル基に連結し、炭素および水素のみからなり、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含み、そして2~12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価の炭化水素鎖(例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなど)をいう。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残部に結合され、二重結合または単結合を介してラジカル基に結合される。分子の残部へのおよびラジカル基へのアルキニレン鎖の結合点は、その鎖中の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキニレンは、必要に応じて置換される。【0034】「アルキルエーテル」とは、上記で定義されるとおりの任意のアルキル基であって、ここで少なくとも1個の炭素-炭素結合が炭素-酸素結合で置き換わっているものをいう。この炭素-酸素結合は、末端部分に(アルコキシ基の中にあるように)あってもよいし、炭素酸素結合は、内部に(すなわち、C-O-C)あってもよい。アルキルエーテルは、少なくとも1個の炭素酸素結合を含むが、1個より多く含んでいてもよい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、アルキルエーテルの意味の中に含まれる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、いくつかの実施形態において、アルキルエーテルは、アルコールまたは-OP(=R)(R)Rで置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義される通りである。【0035】「アルコキシ」とは、式-ORであって、ここでRは、1~12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのアルキル基である基をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルコキシ基は、必要に応じて置換される。【0036】「アルコキシアルキルエーテル」とは、式-ORの基であって、ここでRは、1~12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのアルキレン基であり、Rは、本明細書で定義されるとおりのアルキルエーテル基であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アルコキシアルキルエーテル基は、必要に応じて置換され、例えば、アルコールまたは-OP(=R)(R)Rで置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0037】「ヘテロアルキル」とは、アルキル基内にまたはアルキル基の末端に、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、PまたはS)を含むアルキル基(上記で定義されるとおり)をいう。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、アルキル基内にある(すなわち、ヘテロアルキルは、少なくとも1個の炭素-[ヘテロ原子]-炭素結合を含み、ここでxは、1、2または3である)。他の実施形態において、ヘテロ原子は、アルキル基の末端にあり、従って、アルキル基を分子の残部に結合するように働く(例えば、M1-H-A(ここでM1は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキル基である))。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキル基は、必要に応じて置換される。例示的なヘテロアルキル基は、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)を含み、必要に応じて、リン-酸素結合(例えば、ホスホジエステル結合)を含む。【0038】「ヘテロアルコキシ」とは、式-ORの基であって、ここでRは、1~12個の炭素原子を含む上記で定義されるとおりのヘテロアルキル基であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルコキシ基は、必要に応じて置換される。【0039】「ヘテロアルキレン」とは、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、PまたはS)を、アルキレン鎖内またはアルキレン鎖の末端に含む、上で定義されたようなアルキレン基をいう。いくつかの実施形態において、上記ヘテロ原子は、アルキレン鎖の中にある(すなわち、上記ヘテロアルキレンは、少なくとも1個の炭素-[ヘテロ原子]-炭素結合を含み、ここでxは1、2または3である)。他の実施形態において、上記ヘテロ原子は、アルキレンの末端にあり、従って、上記アルキレンを分子の残部に結合するように働く(例えば、M1-H-A-M2、ここでM1およびM2は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキレンである)。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキレン基は、必要に応じて置換される。例示的なヘテロアルキレン連結基は、エチレンオキシド(例えば、PEG)リンカーおよび以下で図示されるリンカー:

    【化2】
    を含む。【0040】上記C-リンカーのマルチマーは、ヘテロアルキレンリンカーの種々の実施形態に含まれる。【0041】「ヘテロアルケニレン」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含むヘテロアルキレン(上記で定義されるとおり)である。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルケニレン基は、必要に応じて置換される。【0042】「ヘテロアルキニレン」とは、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含むヘテロアルキレンである。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアルキニレン基は、必要に応じて置換される。【0043】「ヘテロ原子リンカー」に関して「ヘテロ原子(の)」とは、1個もしくはこれより多くのヘテロ原子からなるリンカー基をいう。例示的なヘテロ原子リンカーは、O、N、PおよびSからなる群より選択される1個の原子、および複数のヘテロ原子を含む(例えば、式-P(O)(=O)O-または-OP(O)(=O)O-ならびにそのマルチマーおよび組み合わせを有するリンカー)。【0044】「ホスフェート」とは、-OP(=O)(R)R基であって、ここでRは、OH、OまたはORであり;そしてRは、OH、O、OR、チオホスフェート基またはさらなるホスフェート基であり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であるものをいう。【0045】「ホスホアルキル」とは、-OP(=O)(R)R基であって、ここでRは、OH、OまたはORであり;そしてRは、-Oアルキルであり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ホスホアルキル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、ホスホアルキル基の中の上記-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0046】「ホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=O)(R)R基であって、ここでRは、OH、OまたはORであり;そしてRは、-Oアルキルエーテルであり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ホスホアルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、ホスホアルキルエーテル基の中の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0047】「チオホスフェート」とは、-OP(=R)(R)R基であって、ここでRは、OまたはSであり;Rは、OH、O、S、ORまたはSRであり;そしてRは、OH、SH、O、S、OR、SR、ホスフェート基またはさらなるチオホスフェート基であり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であり、そしてただし:i)Rは、Sであり;ii)Rは、SまたはSRであり;iii)Rは、SH、SまたはSRであるか;あるいはiv) i)、ii)および/またはiii)の組み合わせであるものをいう。【0048】「チオホスホアルキル」とは、-OP(=R)(R)R基であって、ここでRは、OまたはSであり;Rは、OH、O、S、ORまたはSRであり;そしてRは、-Oアルキルであり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であり、そしてただし:i)Rは、Sであるか、ii)Rは、SもしくはSRであるか;またはiii)Rは、Sであり、そしてRは、SもしくはSRであるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、チオホスホアルキル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、チオホスホアルキル基の中の-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0049】「チオホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=R)(R)R基であって、ここでRは、OまたはSであり、Rは、OH、O、S、ORまたはSRであり;そしてRは、-Oアルキルエーテルであり、ここでRは、対イオン(例えば、Naなど)であり、そしてただし:i)Rは、Sであるか、ii)Rは、SもしくはSRであるか;またはiii)Rは、Sであり、そしてRは、SもしくはSRであるものをいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、チオホスホアルキルエーテル基は、必要に応じて置換される。例えば、ある種の実施形態において、チオホスホアルキル基の中の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rのうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0050】「炭素環式」とは、3~18個の炭素原子を含む安定な3~18員の芳香族または非芳香族の環をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、炭素環式環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、部分的にまたは完全に不飽和であり得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。非芳香族カルボシクリルラジカルとしては、シクロアルキルが挙げられる一方で、芳香族カルボシクリルラジカルは、アリールが挙げられる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、炭素環式基は、必要に応じて置換される。【0051】「シクロアルキル」とは、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、3~15個の炭素原子を有し、好ましくは、3~10個の炭素原子を有し、そして飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残部に結合される安定な非芳香族の単環式または多環式の炭素環式環をいう。単環式シクロアルキル(cyclocalkyl)としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ-[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書で別段具体的に述べられなければ、シクロアルキル基は、必要に応じて置換される。【0052】「アリール」とは、少なくとも1個の炭素環式芳香環を含む環系をいう。いくつかの実施形態において、アリールは、6~18個の炭素原子を含む。このアリール環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。アリールとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンに由来するアリール。本明細書で別段具体的に述べられなければ、アリール基は、必要に応じて置換される。【0053】「複素環式」とは、1~12個の炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1~6個のヘテロ原子を含む安定な3~18員の芳香族または非芳香族の環をいう。本明細書で別段具体的に述べられなければ、上記複素環式環は、縮合環系もしくは架橋環系を含み得、上記複素環式環の中の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化され得;窒素原子は、必要に応じて四級化され得;そして上記複素環式環は、部分的にまたは完全に不飽和であり得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。芳香族複素環式環の例は、ヘテロアリールの定義の中で以下に列挙される(すなわち、ヘテロアリールは、複素環式の部分セットである)。非芳香族複素環式環の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾロピリミジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリオキサニル、トリチアニル、トリアジナニル(triazinanyl)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、および1,1-ジオキソ-チオモルホリニル。本明細書で別段具体的に述べられなければ、複素環式基は、必要に応じて置換される。【0054】「ヘテロアリール」とは、1~13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1~6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1個の芳香環を含む5~14員の環系をいう。本発明のある種の実施形態の目的に関して、ヘテロアリールラジカルは、縮合環系もしくは架橋環系を含み得;上記ヘテロアリールラジカルの中の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化され得;上記窒素原子は、必要に応じて四級化され得る単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ベンゾオキサゾリノニル、ベンゾイミダゾールチオニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プテリジノニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリミジノニル(pryrimidinonyl)、ピリダジニル、ピロリル、ピリド[2,3-d]ピリミジノニル、キナゾリニル、キナゾリノニル、キノキサリニル、キノキサリノニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-オニル、チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)。本明細書で別段具体的に述べられなければ、ヘテロアリール基は、必要に応じて置換される。【0055】「縮合された」とは、少なくとも2個の環を含み、ここでこの2個の環が少なくとも1個の共通環原子、例えば、2個の共通環原子を共有する環系をいう。縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、その共通環原子は、炭素または窒素であり得る。縮合環は、二環式、三環式、四環式などを含む。【0056】本明細書で使用される用語「置換された」とは、上記基のうちのいずれか(例えば、アルキル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、ホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキル、チオホスホアルキルエーテル、炭素環式、シクロアルキル、アリール、複素環式および/またはヘテロアリール)であって、ここで少なくとも1個の水素原子(例えば、1個、2個、3個または全ての水素原子)が、非水素原子(例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:F、Cl、Br、およびIのようなハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、およびエステル基のような基の中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基のような基の中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、およびエナミンのような基の中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基のような基の中のケイ素原子;ならびに種々の他の基の中の他のヘテロ原子)への結合によって置き換えられることを意味する。「置換された」とはまた、1個もしくはこれより多くの水素原子が、ヘテロ原子(例えば、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基の中の酸素;ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルのような基の中の窒素)へのより高次の結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられる上記の基のうちのいずれかを意味する。例えば、「置換された」は、1個もしくはこれより多くの水素原子が-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)NR、-NRC(=O)OR、-NRSO、-OC(=O)NR、-OR、-SR、-SOR、-SO、-OSO、-SOOR、=NSO、および-SONRで置き換えられる上記の基のうちのいずれかを含む。「置換された」はまた、1個もしくはこれより多くの水素原子が-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-CHSO、-CHSONRで置き換えられる上記基のうちのいずれかを意味する。前述において、RおよびRは、同じであるかまたは異なっており、そして独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換された」とは、1個もしくはこれより多くの水素原子がアミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基への結合によって置き換えられる上記の基のうちのいずれかをさらに意味する。いくつかの実施形態において、選択肢的置換基は、-OP(=R)(R)Rであり、ここでR、RおよびRの各々は、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。さらに、前述の置換基の各々はまた、上記の置換基のうちの1個もしくはこれより多くで必要に応じて置換され得る。【0057】「共役」とは、1つのp軌道と別のp軌道とが、間に挟まるσ結合を横断して重なり合っていることをいう。共役は、環式または非環式の化合物で起こり得る。「共役度」とは、少なくとも1つのp軌道と別のp軌道とが間に挟まっているシグマ結合を横断して重なり合っていることをいう。例えば、1,3-ブタジエンは、1の共役度を有する一方で、ベンゼンおよび他の芳香族化合物は、代表的には、多重の共役度を有する。蛍光および有色化合物は、代表的には、少なくとも1の共役度を含む。【0058】「蛍光(性)(fluorescent)」とは、特定の周波数の光を吸収し、異なる周波数の光を発することができる分子をいう。蛍光(fluorescence)は、当業者に周知である。【0059】「有色(の)(colored)」とは、有色のスペクトル内の光(すなわち、赤、黄、青など)を吸収する分子をいう。【0060】「リンカー」とは、分子の一部をその同じ分子の別の部分にまたは異なる分子、部分もしくは固体支持体(例えば、微粒子)に接続する、少なくとも1個の原子(例えば、炭素、酸素、窒素、硫黄、リンおよびこれらの組み合わせ)の連続する鎖に言及する。リンカーは、共有結合または他の手段(例えば、イオン結合または水素結合相互作用)を介して上記分子を接続し得る。【0061】用語「生体分子」とは、種々の生物学的物質のうちのいずれか(核酸、炭水化物、アミノ酸、ポリペプチド、糖タンパク質、ホルモン、アプタマーおよびこれらの混合物が挙げられる)をいう。より具体的には、この用語は、RNA、DNA、オリゴヌクレオチド、改変または誘導体化されたヌクレオチド、酵素、レセプター、プリオン、レセプターリガンド(ホルモンを含む)、抗体、抗原、および毒素、ならびに細菌、ウイルス、血球、および組織細胞が挙げられるが、これらに限定されないことが意図される。本発明の視覚的に検出可能な生体分子(例えば、生体分子が連結されている構造(I)の化合物)は、本明細書でさらに記載されるように、生体分子と化合物(これは、上記生体分子上のアミノ、ヒドロキシ、カルボキシル、またはスルフヒドリル基のような任意の利用可能な原子または官能基を介して上記化合物への生体分子の結合を可能にする反応性基を有する)とを接触させることによって調製される。【0062】「反応性基」とは、第2の反応性基(例えば、「相補的反応性基」)と反応して、1個もしくはこれより多くの共有結合を、例えば、置換、酸化、還元、付加または環化付加反応により形成し得る部分である。例示的な反応性基は、表1に提供され、例えば、求核性基、求電子性基、ジエン、ジエノフィル、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、スルホニルハライド、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチン、チイランなどが挙げられる。【0063】用語「視覚的」および「視覚的に検出可能な」とは、事前の照射、または化学的活性化もしくは酵素的活性化なしで、目視によって観察可能である物質に言及するために、本明細書で使用される。このような視覚的に検出可能な物質は、約300~約900nmの範囲に及ぶスペクトルの領域にある光を吸収し、発する。好ましくは、このような物質は、強く有色であり、好ましくは、少なくとも約40,000、より好ましくは、少なくとも約50,000、さらにより好ましくは、少なくとも約60,000、なおさらにより好ましくは、少なくとも約70,000、および最も好ましくは、少なくとも約80,000M-1cm-1のモル吸光係数を有する。本発明の化合物は、裸眼で、または光学ベースの検出デバイス(吸光分光光度計、透過型光学顕微鏡(transmission light microscope)、デジタルカメラおよびスキャナが挙げられるが、これらに限定されない)の助けを借りて観察することによって検出され得る。視覚的に検出可能な物質は、可視スペクトルの中の光を発するおよび/または吸収するものに限定されない。紫外線(UV)領域(約10nm~約400nm)、赤外線(IR)領域(約700nm~約1mm)の中の光を発するおよび/または吸収する物質、ならびに電磁スペクトルの他の領域において発するおよび/または吸収する物質はまた、「視覚的に検出可能な」物質の範囲内に含まれる。【0064】本発明の実施形態の目的のために、用語「光安定性視覚的染料(photostable visible dye)」とは、本明細書上記で定義されるように、視覚的に検出可能であり、そして光に曝露した際に、顕著に変化も分解もしない化学部分に言及する。好ましくは、上記光安定性視覚的染料は、少なくとも1時間光に曝された後に、顕著な漂白も分解も示さない。より好ましくは、上記視覚的染料は、少なくとも12時間、さらにより好ましくは、少なくとも24時間、さらになおより好ましくは、少なくとも1週間、および最も好ましくは、少なくとも1ヶ月間光に曝した後に安定である。本発明の化合物および方法における使用に適した光安定性視覚的染料の非限定的例としては、アゾ染料、チオインディゴ染料、キナクリドン顔料、ジオキサジン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、キノフタロン、およびトルアリーカルボニウム(truarycarbonium)が挙げられる。【0065】本明細書で使用される場合、用語「ペリレン誘導体」とは、視覚的に検出可能である任意の置換されたペリレンを含むことが意図される。しかし、この用語は、ペリレン自体を含むことは意図されない。用語「アントラセン誘導体」、「ナフタレン誘導体」、および「ピレン誘導体」が、同様に使用される。いくつかの好ましい実施形態において、誘導体(例えば、ペリレン、ピレン、アントラセンまたはナフタレンの誘導体)は、ペリレン、アントラセン、ナフタレン、またはピレンのイミド、ビスイミドまたはヒドラザムイミド(hydrazamimide)誘導体である。【0066】本発明の種々の実施形態の視覚的に検出可能な分子は、特定の分析物(例えば、生体分子)の存在、位置、または量を決定する必要がある広く種々の分析用途(例えば、生化学的および生物医学的用途)に有用である。従って、別の局面において、本発明は、生体分子を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、(a)生物学的系に、生体分子に連結された構造(I)の化合物を含む視覚的に検出可能な生体分子を提供する工程;および(b)上記生体分子をその視覚的特性によって検出する工程を包含する。本発明の目的のために、語句「生体分子をその視覚的特性によって検出する」とは、生体分子が、照射または化学的もしくは酵素的活性化なしに、裸眼で、または光学ベースの検出デバイス(吸光分光光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラおよびスキャナが挙げられるが、これらに限定されない)の助けを借りて観察されることを意味する。デンシトメーターは、存在する視覚的に検出可能な生体分子の量を定量するために使用され得る。例えば、2つのサンプル中の上記生体分子の相対的量は、相対的光学密度を測定することによって決定され得る。1生体分子あたりの染料分子の化学量論が既知でありかつ上記染料分子の吸光係数が既知である場合、上記生体分子の絶対濃度もまた、光学密度の測定から決定され得る。本明細書で使用される場合、用語「生物学的系」は、視覚的に検出可能な生体分子に加えて、1もしくはこれより多くの生体分子を含む任意の溶液または混合物をいうために使用される。このような生物学的系の非限定的例としては、細胞、細胞抽出物、組織サンプル、電気泳動ゲル、アッセイ混合物、およびハイブリダイゼーション反応混合物が挙げられる。【0067】「固体支持体」とは、分子の固相支持のための当該分野で公知の任意の固体基材をいい、例えば、「微粒子」とは、本発明の化合物への結合に有用な多くの小さな粒子のうちのいずれか(ガラスビーズ、磁性ビーズ、ポリマービーズ、非ポリマービーズなどが挙げられるが、これらに限定されない)をいう。ある種の実施形態において、微粒子は、ポリスチレンビーズを含む。【0068】「固体支持体残基(solid support reside)」とは、分子が固体支持体から切断される場合に、その分子に結合されたままである官能基をいう。固体支持体残基(solid support residue)は、当該分野で公知であり、固体支持体の構造および固体支持体にその分子を連結する基に基づいて容易に導かれ得る。【0069】「標的化部分」とは、特定の標的(例えば、分析物分子)と選択的に結合するかまたは会合する部分である。「選択的に」結合または会合するとは、標的化部分が他の標的と比較して所望の標的と優先的に会合するかまたは結合することを意味する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物を目的の分析物(すなわち、標的化部分の標的)と選択的に結合させるかまたは会合させ、従ってその分析物の検出を可能にするという目的のために、その標的化部分への連結を含む。例示的な標的化部分としては、抗体、抗原、核酸配列、酵素、タンパク質、細胞表面レセプターアンタゴニストなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記標的化部分は、抗体のような、細胞上にまたは細胞中にある標的特徴(例えば、細胞膜または他の細胞構造上にある標的特徴)と選択的に結合するかまたは会合し、従って、目的の細胞の検出を可能にする部分である。所望の分析物と選択的に結合するかまたは会合する低分子はまた、ある種の実施形態において標的化部分として企図される。当業者は、種々の実施形態において有用である他の分析物および相当する標的化部分を理解する。【0070】「塩基対合部分」とは、相補的な複素環式部分と水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を介してハイブリダイズし得る複素環式部分をいう。塩基対合部分は、天然および非天然の塩基を含む。塩基対合部分の非限定的例は、RNA塩基およびDNA塩基(例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン、シトシンおよびウリジンならびにこれらのアナログ)である。【0071】本明細書で開示される本発明の実施形態はまた、1個もしくはこれより多くの原子が異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換わることによって、同位体標識されている構造(I)の全ての化合物を包含することが意味される。開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体(例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125I)が挙げられる。【0072】構造(I)の同位体標識された化合物は一般に、当業者に公知の従来技術によって、または以下でおよび以下の実施例において記載されるものに類似のプロセスによって、以前に使用されていた標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して調製され得る。【0073】「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度への単離および有効な治療剤への製剤化に耐えるように十分に強い化合物を示すことが意味される。【0074】「任意の(optional)」または「必要に応じて(optionally)」とは、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびにその記載が上記事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル」とは、そのアルキル基が置換されていてもされていなくてもよいこと、ならびにその記載が、置換されたアルキル基および置換を有しないアルキル基の両方を含むことを意味する。【0075】「塩」とは、酸付加塩および塩基付加塩の両方を包含する。【0076】「酸付加塩」とは、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられるが、これらに限定されない)および有機酸(例えば、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、カンファー酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などが挙げられるが、これらに限定されない)と形成される塩をいう。【0077】「塩基付加塩」とは、遊離酸に無機塩基または有機塩基を添加することから調製される塩をいう。無機塩基に由来する塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:一級、二級、および三級アミン、置換されたアミン(天然に存在する置換されたアミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)が挙げられる)の塩。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。【0078】結晶化は、本明細書中に記載される化合物の溶媒和物を生じ得る。本発明の実施形態は、記載される化合物の全ての溶媒和物を包含する。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、1分子もしくはこれより多くの本発明の化合物と、1分子もしくはこれより多くの溶媒とを含む凝集物をいう。上記溶媒は水であり得、この場合、この溶媒和物は水和物であり得る。あるいは、上記溶媒は、有機溶媒であり得る。従って、本発明の化合物は、水和物(一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などが挙げられる)ならびにその対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物であり得る一方で、他の場合には、本発明の化合物は、偶発の水もしくは別の溶媒を保持しているに過ぎなくてもよいし、水と何らかの偶発の溶媒との混合物であってもよい。【0079】本発明の化合物の実施形態(例えば、構造Iの化合物)またはそれらの塩、互変異性体もしくは溶媒和物は、1もしくはこれより多くの不斉中心を含み得、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点から、(R)-もしくは(S)-として、またはアミノ酸に関しては(D)-もしくは(L)-として定義され得る他の立体異性形態を生じ得る。本発明の実施形態は、全てのこのような考えられる異性体、ならびにそれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことが意味される。光学的に活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来技術(例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化)を使用して分離され得る。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来技術としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、あるいは例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ混合物(または塩もしくは誘導体のラセミ混合物)の分離が挙げられる。本明細書で記載される化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何的非対称性の中心を含み、そして別段特定されなければ、上記化合物がEおよびZ両方の幾何異性体を含むことは、意図される。同様に、全ての互変異性形態がまた、含まれることが意図される。【0080】「立体異性体」とは、同じ結合によって結合されるが、交換可能ではない異なる三次元構造を有する同じ原子から構成される化合物をいう。本発明は、種々の立体異性体およびその混合物を企図し、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体をいう「エナンチオマー」を含む。【0081】「互変異性体」とは、分子の1つの原子からその同じ分子の別の原子へのプロトンシフトに言及する。本発明は、任意の上記化合物の互変異性体を含む。上記化合物の種々の互変異性形態は、当業者によって容易に導き出される。【0082】本明細書で使用される化学的命名法プロトコルおよび構造図は、ACD/Name Version 9.07ソフトウェアプログラムおよび/またはChemDraw Ultra Version 11.0ソフトウェア命名プログラム(CambridgeSoft)を使用するI.U.P.A.C.命名法体系の改変形態である。当業者が精通する一般名もまた、使用される。【0083】上記のように、本発明の一実施形態において、種々の分析法において蛍光染料および/または有色染料として有用な化合物が提供される。一般論として、本発明の実施形態は、蛍光部分および/または有色部分のダイマーおよびより高次のポリマーに関する。蛍光部分および/または有色部分は、リン含有連結によって連結される。理論によって拘束されることは望まないが、上記リンカーが、分子内クエンチングが低減または排除され、従って、より高いモル「明度」(例えば、高蛍光発光)を有する染料化合物を生じるように、蛍光部分および/または有色部分の間で十分な空間的距離を維持する一助となると考えられる。有利なことには、ある種の実施形態において、リンカーは、代表的に疎水性および不十分な水溶性の蛍光部分および/または有色部分の水溶性を、増大させる。【0084】いくつかの実施形態において、以下の構造(I):

    【化3】
    を有する化合物、またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体が提供され、ここで:
    Mは、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む一価の部分であり;
    M′は、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む二価の部分であり;
    L、L2およびL3は、各存在において、独立して、任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
    1は、各存在において、独立して、i)任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
    4は、各存在において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、炭素環式または複素環式リンカーであり;
    1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり
    2およびR3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、QまたはL’であり;
    4は、各存在において、独立して、OH、SH、O、S、ORdまたはSRdであり;
    5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
    aは、OまたはSであり;
    bは、OH、SH、O、S、ORdまたはSRdであり;
    cは、OH、SH、O、S、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
    dは、対イオンであり;
    Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
    L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
    1およびm2は、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり; n、xおよびyは、各々独立して、zの各整数値に対して0またはこれより大きな整数であり;そして
    zは、1またはこれより大きな整数であるが、
    ただしxは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きく、かつnまたはyのうちの少なくとも一方は、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい。【0085】構造(I)の他の実施形態において:
    Mは、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む一価の部分であり;
    M′は、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む二価の部分であり;
    L、L2およびL3は、各存在において、独立して、任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
    1は、各存在において、独立して、i)任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
    4は、各存在において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、炭素環式または複素環式リンカーであり;
    1は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
    2およびR3は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Q、Qへの共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、ここで:Raは、OまたはSであり;Rbは、OH、SH、O、S、ORdまたはSRdであり;Rcは、OH、SH、O、S、ORd、SRd、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;そして
    dは、対イオンであり;
    4は、各存在において、独立して、OH、SH、O、S、ORdまたはSRdであり;
    5は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
    Qは、各存在において、独立して、分析物分子、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;
    1およびm2は、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり; n、xおよびyは、各々独立して、zの各整数値に対して0またはこれより大きな整数であり;そして
    zは、1またはこれより大きな整数であるが、
    ただしxは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きく、かつnまたはyのうちの少なくとも一方は、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい。【0086】いくつかの実施形態において、yは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい。他の実施形態において、nは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい。【0087】いくつかのより具体的な実施形態において、上記化合物は、以下の構造(IA):

    【化4】
    を有し、ここでyは、1またはこれより大きな整数、例えば、1~10の整数である。【0088】リンカーLは、M′基の間で所望の間隔を提供するために、そしてある種の実施形態において上記化合物に増大した水溶性を提供するために、選択される。いくつかの実施形態において、L1は、各存在において、独立して、任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーである。他の実施形態において、L1は、各存在において、独立して、2個の相補的反応性基、例えば、Q基の反応によって形成できる官能基を含むリンカーである。いくつかの実施形態において、Lは、各存在において、独立して、アルキレンリンカー、例えば、C1-C6アルキレンリンカーである。いくつかの実施形態において、Lは、C3リンカー(例えば、プロピレンリンカー)である。【0089】M′は、所望の最終用途適用に基づいて選択される。M′は二価部分であり、すなわち、2つの位置において構造(I)の化合物の残部に結合される。ある種の実施形態において、M′は、各存在において、独立して、二価:ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である。【0090】異なる実施形態において、M′は、各存在において、独立して、二価:p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミドもしくはペリレンアミド、またはこれらの誘導体である。【0091】さらにより多くの実施形態において、M′は、各存在において、独立して、二価:クマリン染料、レゾルフィン染料、ジピロメテンボロンジフルオリド染料、ルテニウムビピリジル染料、エネルギー移動染料、チアゾールオレンジ染料、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド染料である。【0092】他の実施形態において、M′は、各存在において、独立して、二価:ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAM、またはこれらの誘導体である。【0093】いくつかの他の具体的実施形態において、M′は、各存在において、独立して、以下の構造:

    【化5】
    のうちの1つを有する。【0094】角括弧、すなわち[ ]の中に入れられた化合物が、二価であり、そして2つの位置において構造(I)の化合物の残部に結合されることは、理解される。言い換えると、2個の水素原子が、Lへの、またはLが非存在である場合には適切な基への、結合で置き換えられている。【0095】いくつかのより具体的な実施形態において、M′は、各存在において、以下の構造:

    【化6】
    を有する。【0096】構造(I)の化合物中の種々のリンカーおよび置換基(例えば、R1、R2、R3、R4、R5、L、L’、L1、L2、L3、L4、Q、MおよびM’)は、1もしくはこれより多くの置換基で必要に応じて置換される。例えば、いくつかの実施形態において、任意の置換基は、構造(I)の化合物の水溶性または他の特性を最適化するために選択される。ある種の実施形態において、構造(I)の化合物中の各アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、スルフヒドリル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルからなる群より選択されるさらに1個の置換基で必要に応じて置換される。ある種の実施形態において、任意の置換基は、-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、ここでRa、RbおよびRcは、構造(I)の化合物について定義されるとおりである。【0097】リンカーLは、化合物の残部へのM部分の結合点として使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物への合成前駆体が調製され、M部分は、当該分野で公知の任意の数の容易な方法(例えば、「クリック化学」といわれる方法)を使用して、その合成前駆体に結合される。この目的のために、迅速でありかつ実質的に不可逆性である任意の反応は、Mをその合成前駆体に結合して、構造(I)の化合物を形成するために使用され得る。例示的な反応としては、トリアゾールを形成するアジドおよびアルキンの銅触媒性の反応(ヒュスゲン1,3-双極環化付加反応)、ジエンおよびジエノフィルの反応(ディールス-アルダー)、歪み促進性アルキン-ニトロン環化付加(strain-promoted alkyne-nitrone cycloaddition)、歪みアルケンと、アジド、テトラジンまたはテトラゾールの反応、アルケンおよびアジドの[3+2]環化付加、アルケンおよびテトラジン逆電子要請型ディールス-アルダー、アルケンおよびテトラゾール光化学反応、ならびに種々の置換反応(例えば、求電子性原子に対する求核攻撃による脱離基の置換)が挙げられる。例示的な置換反応は、アミンと以下:活性化エステル;N-ヒドロキシスクシンイミドエステル;イソシアネート;イソチオシアネート(isothioscyanate)などとの反応を含む。いくつかの実施形態において、Lを形成する反応は、水性環境の中で行われ得る。【0098】よって、いくつかの実施形態において、Lは、前述の「クリック」反応のうちの1つの生成物である官能基である。種々の実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、スルホニルハライド、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチンまたはチイラン官能基と、相補的反応性基との反応によって形成され得る。例えば、アミンとN-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートとの反応。【0099】他の実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルキンおよびアジドの反応によって形成され得る。他の実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アミン(例えば、一級アミン)およびN-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートの反応によって形成され得る。【0100】より多くの実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。より多くの実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、チオウレア、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。他の実施形態において、官能基は、アミドまたはチオウレアを含む。いくつかのより具体的な実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、Lは、トリアゾリル官能基を含むリンカーである。一方で他の実施形態において、Lの少なくとも1個の存在に関して、Lは、アミドまたはチオウレア官能基を含むリンカーである。【0101】さらに他の実施形態において、L1の少なくとも1個の存在に関して、L1-Mは、以下の構造:

    【化7】
    を有し、ここでL1aおよびL1bは、各々独立して、任意のリンカーである。【0102】異なる実施形態において、L1の少なくとも1個の存在に関して、L1-Mは、以下の構造:

    【化8】
    を有し、ここでL1aおよびL1bは、各々独立して、任意のリンカーである。【0103】前述のものの種々の実施形態において、L1aもしくはL1b、または両方が、非存在である。他の実施形態において、L1aもしくはL1b、または両方が存在する。【0104】いくつかの実施形態において、L1aおよびL1bは、存在する場合、各々独立して、アルキレンまたはヘテロアルキレンである。例えば、いくつかの実施形態において、L1aおよびL1bは、存在する場合、独立して、以下の構造:【0105】
    【化9】
    のうちの1つを有する。【0106】より多くの実施形態において、L、LおよびLは、各存在において、独立して、C-Cアルキレン、C-CアルケニレンまたはC-Cアルキニレンである。他の実施形態において、Lは、各存在において、独立して、C-Cアルキレン、C-CアルケニレンまたはC-Cアルキニレンである。さらに異なる実施形態において、Lは、エチレンオキシドリンカー、例えば、トリエチレンオキシドまたはヘキサエチレンオキシドリンカーである。さらに異なる実施形態において、Lは、炭素環式または複素環式リンカー、例えば、多環式の縮合炭素環式または複素環式リンカーである。【0107】構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかのさらに他の実施形態において、Rは、各存在において、独立して、OH、OまたはORである。「OR」および「SR」は、カチオンと会合したOおよびSをいうことが意図されることは、理解される。例えば、ホスフェート基の二ナトリウム塩は、

    【化10】
    として表され得、ここでRは、ナトリウム(Na)である。【0108】構造(I)の化合物のうちのいずれかの他の実施形態において、Rは、各存在において、オキソである。【0109】前述の化合物のうちのいずれかのいくつかの異なる実施形態において、Rは、Hである。【0110】他の種々の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、OHまたは-OP(=R)(R)Rである。いくつかの異なる実施形態において、RまたはRは、OHまたは-OP(=R)(R)Rであり、RまたはRの他方は、QまたはQへの共有結合を含むリンカーである。【0111】構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかのさらにより異なる実施形態において、RおよびRは、各々独立して、-OP(=R)(R)Rである。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、Rは、OL’である。【0112】他の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、-OP(=R)(R)OL’であり、L’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物への、アルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。【0113】リンカーL’は、Q、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物を、構造(I)の化合物に結合させるために適した任意のリンカーであり得る。有利なことには、ある種の実施形態は、化合物の水溶性を増大または最適化するために選択されるL’部分の使用を含む。ある種の実施形態において、L’は、ヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L’は、アルキレンオキシドもしくはホスホジエステル部分、またはこれらの組み合わせを含む。【0114】ある種の実施形態において、L’は、以下の構造:

    【化11】
    を有し、ここで:
    m”およびn”は、独立して、1~10の整数であり;
    は、H、電子対または対イオンであり;
    L”は、Rもしくは直接結合であるか、またはQ、標的化部分、分析物(例えば、分析物分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物への、連結である。【0115】いくつかの実施形態において、m”は、4~10の整数、例えば、4、6または10である。他の実施形態において、n”は、3~6の整数、例えば、3、4、5または6である。【0116】いくつかの他の実施形態において、L”は、アルキレンまたはヘテロアルキレン部分である。いくつかの他のある種の実施形態において、L”は、アルキレンオキシド、ホスホジエステル部分、スルフヒドリル、ジスルフィドもしくはマレイミド部分、またはこれらの組み合わせを含む。【0117】前述の実施形態のうちのある種のものにおいて、標的化部分は、抗体または細胞表面レセプターアンタゴニストである。【0118】構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかの他のより具体的な実施形態において、RまたはRは、以下の構造:

    【化12】

    【化13】
    のうちの1つを有する。【0119】構造(I)の化合物のある種の実施形態は、オリゴヌクレオチドの調製に関して当該分野で公知のものに類似である固相合成法に従って調製され得る。よって、いくつかの実施形態において、L’は、固体支持体、固体支持体残基またはヌクレオシドへの連結である。活性化デオキシチミジン(dT)基を含む固体支持体は、容易に入手可能であり、いくつかの実施形態において、構造(I)の化合物の調製のための出発物質として使用され得る。よって、いくつかの実施形態において、RまたはRは、以下の構造:

    【化14】
    を有する。【0120】当業者は、上記で示されるdT基が合成のしやすさおよび経済効率のみのために含まれ、必須ではないことを理解する。他の固体支持体が使用され得、そしてL’に存在する種々のヌクレオシドまたは固体支持体残基を生じるか、またはそのヌクレオシドまたは固体支持体残基は、合成後に除去または改変され得る。【0121】なお他の実施形態において、Qは、各存在において、独立して、分析物分子または固体支持体と共有結合を形成し得る反応性基を含む部分である。他の実施形態において、Qは、各存在において、独立して、相補的反応性基Q′と共有結合を形成し得る反応性基を含む部分である。例えば、いくつかの実施形態において、Q′は、構造(I)のさらなる化合物上に(例えば、R位またはR位に)存在し、QおよびQ′は、構造(I)の化合物および構造(I)のさらなる化合物の反応が構造(I)の化合物の共有結合したダイマーを生じるように、相補的反応性基を含む。構造(I)のマルチマー化合物はまた、類似の様式で調製され得、本発明の実施形態の範囲内に含まれる。【0122】Q基のタイプおよび構造(I)の化合物の残りへのQ基の接続は、Qが、所望の結合を形成するために適切な反応性を有することを条件として、限定されない。【0123】ある種の実施形態において、上記Qは、水性条件下で加水分解を受けにくい部分であるが、分析物分子または固体支持体上の対応する基(例えば、アミン、アジドまたはアルキン)と結合を形成するために十分に反応性である。【0124】構造(I)の化合物のある種の実施形態は、生体結合反応の分野において一般に使用されるQ基を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Qは、求核性反応性基、求電子性反応性基もしくは環化付加反応性基を含む。いくつかのより具体的な実施形態において、Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、ジエノフィル、酸ハライド、スルホニルハライド、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノもしくはマレイミド官能基を含む。いくつかの実施形態において、上記活性化エステルは、N-スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニルエステルである。他の実施形態において、上記アルキンは、アルキルアジドまたはアシルアジドである。【0125】Q基は、便宜的に、貯蔵安定性または他の所望の特性を増大するために保護された形態で提供され得、次いで、その保護基は、例えば、標的化部分または分析物との結合体化のために適時に除去され得る。よって、Q基は、反応性基の「保護された形態」を含み、これらとしては、上記でまたは以下の表1に記載される反応性基のうちのいずれかが挙げられる。Qの「保護された形態」とは、所定の反応条件下で、Qと比較してより低い反応性を有するが、好ましくは、構造(I)の化合物の他の部分を分解もせず、その部分と反応もしない条件下で、Qに変換され得る部分をいう。当業者は、特定のQならびに所望の最終用途および貯蔵条件に基づいて、Qの適切な保護された形態を導き得る。例えば、QがSHである場合、Qの保護された形態は、一般に公知の技術および試薬を使用してSH部分を現すために還元され得るジスルフィドを含む。【0126】他の実施形態において、そのQ部分は、便宜的に、ジスルフィド部分としてマスク(例えば、保護)され、これは、後に還元されて、所望の分析物分子または標的化部分に結合するための活性化Q部分を提供し得る。例えば、そのQ部分は、以下の構造:

    【化15】
    を有するジスルフィドとしてマスクされ得、ここでRは、必要に応じて置換されたアルキル基である。例えば、いくつかの実施形態において、Qは、以下の構造:

    【化16】
    を有するジスルフィド部分として提供され、ここでnは、1~10の整数、例えば、6である。【0127】例示的なQ部分は、以下の表Iに提供される。
    【表1-1】
    【表1-2】
    【表1-3】
    【表1-4】
    【0128】QがSHであるいくつかの実施形態において、このSH部分は、構造(I)の別の化合物上の別のスルフヒドリル基とジスルフィド結合を形成する傾向にあることに注意するべきである。よって、いくつかの実施形態は、ジスルフィドダイマーの形態にあり、このジスルフィド結合がSH Q基に由来する構造(I)の化合物を含む。【0129】いくつかの他の実施形態において、RまたはRのうちの一方は、OHまたは-OP(=R)(R)Rであり、かつRまたはRのうちの他方は、分析物分子への共有結合を含むリンカーまたは固体支持体への共有結合を含むリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、上記分析物分子は、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマーである。他の実施形態において、上記分析物分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。さらに異なる実施形態において、上記固体支持体は、ポリマービーズまたは非ポリマービーズである。【0130】mについての値は、所望の蛍光および/または色の強度に基づいて選択され得る別の変数である。いくつかの実施形態において、mは、各存在において、独立して、1~10、3~10または7~9の整数である。他の実施形態において、mは、各存在において、独立して、1~5の整数、例えば、1、2、3、4または5である。他の実施形態において、mは、各存在において、独立して、5~10の整数、例えば、5、6、7、8、9または10である。他の実施形態において、mの各存在は、1またはこれより大きな整数である。例えば、いくつかの実施形態において、mの各存在は、2もしくはこれより大きな、または3もしくはこれより大きな整数である。【0131】いくつかの実施形態において、mは、各存在において1である。【0132】蛍光強度はまた、nの種々の値の選択によって整調され得る。ある種の実施形態において、nは、1~100の整数である。他の実施形態において、nは、1~10の整数である。いくつかの実施形態において、nは1である。【0133】Mは、所望の光学的特性に基づいて、例えば、所望の色および/または蛍光発光波長に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、Mは、各存在において同じである;しかし、Mの各存在が同一のMである必要はないことに注意することは重要であり、ある種の実施形態は、Mが各存在において同じでない化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、各Mは、同じではなく、異なるM部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法における使用のための吸光度および/または発光を有するように選択される。例えば、いくつかの実施形態において、その異なるM部分は、1つの波長における放射線の吸光度が、FRET機構によって異なる波長における放射線の発光を引き起こすように選択される。例示的なM部分は、所望の最終用途に基づいて、当業者によって適切に選択され得る。FRET法の例示的なM部分としては、フルオレセインおよび5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン,スクシンイミジルエステル)染料が挙げられる。【0134】Mは、M上の任意の位置(すなわち、原子)から分子の残部に結合され得る。当業者は、Mを分子の残部に結合する手段を認識する。例示的な方法は、本明細書中に記載される「クリック」反応を含む。【0135】いくつかの実施形態において、Mは、蛍光部分または有色部分である。任意の蛍光部分および/または有色部分が使用され得、例えば、当該分野で公知でありかつ比色アッセイ、UVアッセイ、および/または蛍光アッセイにおいて代表的に使用されるものが、使用され得る。本発明の種々の実施形態において有用なM部分の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシンまたはテキサスレッド);シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニンまたはメロシアニン);スクアライン誘導体および環置換されたスクアライン(Seta、SeTau、およびSquare染料が挙げられる);ナフタレン誘導体(例えば、ダンシルおよびプロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾールまたはベンゾオキサジアゾール);アントラセン誘導体(例えば、アントラキノン(DRAQ5、DRAQ7およびCyTRAKオレンジが挙げられる));ピレン誘導体(例えば、カスケードブルー);オキサジン誘導体(例えば、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体:オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン;ならびにテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニンまたはビリルビン)。他の例示的なM部分としては、以下が挙げられる:シアニン染料、キサンテート染料(例えば、Hex、Vic、Nedd、JoeまたはTet);Yakimaイエロー;Redmondレッド;tamra;テキサスレッドおよびalexa fluor(登録商標)染料。【0136】前述のうちのいずれかのさらに他の実施形態において、Mは、3個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせ、例えば、4個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせ、あるいはさらには5個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、Mは、6個のアリールまたはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態において、上記環は縮合される。例えば、いくつかの実施形態において、Mは、3個もしくはこれより多くの縮合環、4個もしくはこれより多くの縮合環、5個もしくはこれより多くの縮合環、またはさらには6個もしくはこれより多くの縮合環を含む。【0137】いくつかの実施形態において、Mは、環式である。例えば、いくつかの実施形態において、Mは、炭素環式である。他の実施形態において、Mは、複素環式である。前述のうちのさらに他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、アリール部分を含む。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、上記アリール部分は、多環式である。他のより具体的な実施形態において、上記アリール部分は、縮合多環式アリール部分であり、例えば、これは、少なくとも3個、少なくとも4個、またはさらには4個より多くのアリール環を含み得る。【0138】構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかの他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。例えば、いくつかの実施形態において、上記ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄である。【0139】前述のうちのいずれかのさらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において、独立して、少なくとも1個の置換基を含む。例えば、いくつかの実施形態において、上記置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシ、アリールオキシ、フェニル、アリール、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t-ブチル、カルボキシ、スルホネート、アミド、またはホルミル基である。【0140】前述のうちのいくつかのさらにより具体的な実施形態において、Mは、各存在において、独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である。他の実施形態において、Mは、各存在において、独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミド、もしくはペリレンアミドまたはその誘導体である。さらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において、独立して、クマリン染料、レゾルフィン染料、ジピロメテンボロンジフルオリド染料、ルテニウムビピリジル染料、エネルギー移動染料、チアゾールオレンジ染料、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド染料である。【0141】前述のうちのいずれかのさらにより多くの実施形態において、Mは、各存在において同じである。他の実施形態において、各Mは、異なる。さらにより多くの実施形態において、1個もしくはこれより多くのMは、同じであるか、または1個もしくはこれより多くのMは、異なる。【0142】いくつかの実施形態において、Mは、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAMまたはその誘導体である。いくつかの他の実施形態において、Mは、以下の構造:

    【化17】
    のうちの1つを有する。【0143】カルボン酸基を含むM部分は、上記でアニオン形態(CO )で示されるが、当業者は、これが、pHに依存して変わり、そのプロトン化形態(COH)が種々の実施形態において含まれることを理解する。【0144】いくつかの具体的実施形態において、構造(I)の化合物は、以下の構造:

    【化18】
    を有し、ここでyは、1より大きな整数、例えば、1~10の整数である。【0145】本開示の染料化合物は、「整調可能」であり、これは、前述の化合物のうちのいずれかにおいて変数を適切に選択することによって、当業者は、所望のおよび/または所定のモル蛍光(モル明度)を有する化合物に到達し得ることを意味する。上記化合物の整調可能性は、特定のアッセイにおいて、または目的の特定の分析物を同定するために使用するために、使用者が所望の蛍光および/または色を有する化合物に容易に到達することを可能にする。全ての変数は上記化合物のモル蛍光に対して影響を有し得るが、M、M′、m、m、n、x、yおよびzの適切な選択は、上記化合物のモル蛍光において重要な役割を果たすと考えられる。よって、一実施形態において、所望のモル蛍光を有する化合物を得るための方法が提供され、上記方法は、既知の蛍光を有するMおよび/またはM′部分を選択する工程、このMおよび/またはM′部分を含む構造(I)の化合物を調製する工程、およびm、m、n、x、yおよびzに関して適切な変数を選択して、所望のモル蛍光を達成する工程を包含する。【0146】ある種の実施形態においてモル蛍光は、親発蛍光団(例えば、モノマー)の蛍光発光に対しての倍数増加または減少の点で表され得る。いくつかの実施形態において、本発明の化合物のモル蛍光は、上記親発蛍光団に対して1.1×、1.5×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×またはさらにはより高い。種々の実施形態は、mおよびnの適切な選択によって、親発蛍光団に対して蛍光の所望の倍数増加を有する化合物を調製することを包含する。【0147】例証を容易にするために、リン部分(例えば、ホスフェートなど)を含む種々の化合物は、アニオン状態(例えば、-OPO(OH)O、-OPO 2-)で示される。当業者は、その電荷がpHに依存し、荷電していない(例えば、プロトン化または塩(例えば、ナトリウムもしくは他のカチオン))形態がまた、本発明の実施形態の範囲に含まれることを容易に理解する。【0148】いくつかの実施形態において、構造(I)の前述の化合物のうちのいずれかは、1個またはこれより多くのシクロデキストリンをさらに含む組成物の中に含まれる。理論によって拘束されることは望まないが、シクロデキストリンは、染料部分(例えば、蛍光部分および/または有色部分)の分子内クエンチングを防止または低減し、従って、高いモル「明度」(例えば、高蛍光発光)を有する染料化合物を生じる一助となると考えられる。【0149】シクロデキストリンが染料部分の分子内クエンチングを低減または防止するならば、任意のシクロデキストリンが、種々の実施形態の実施において使用され得る。代表的には、構造(I)の特定の化合物への親和性を有するシクロデキストリンが選択される。いくつかの実施形態において、このシクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンまたはγ-シクロデキストリンである。例えば、いくつかの実施形態において、このシクロデキストリンは、β-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、このような組成物は、水を含む。【0150】前述の化合物のうちのいずれかおよび1もしくはこれより多くの分析物分子(例えば、生体分子)を含む組成物は、種々の他の実施形態において提供される。いくつかの実施形態において、上記1もしくはより多くの分析物分子の検出のための分析方法でのこのような組成物の使用がまた、提供される。【0151】さらに他の実施形態において、上記化合物は、種々の分析法において有用である。例えば、ある種の実施形態において、本開示は、サンプルを染色するための方法を提供し、上記方法は、上記サンプルに構造(I)の化合物(例えば、ここでRまたはRのうちの一方は、分析物分子(例えば、生体分子)または微粒子への共有結合を含むリンカーであり、かつRまたはRのうちの他方は、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rである)を、上記サンプルが適切な波長で照射される場合に光学的応答を生じるために十分な量で添加する工程を包含する。【0152】前述の方法のうちのいくつかの実施形態において、Rは、分析物分子(例えば、生体分子)への共有結合を含むリンカーである。例えば、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)。さらにより多くの実施形態において、上記生体分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。【0153】前述の方法のうちのさらに他の実施形態において、Rは、固体支持体(例えば、微粒子)への共有結合を含むリンカーである。例えば、いくつかの実施形態において、上記微粒子は、ポリマービーズまたは非ポリマービーズである。【0154】さらにより多くの実施形態において、上記光学的応答は、蛍光応答である。【0155】他の実施形態において、上記サンプルは、細胞を含み、いくつかの実施形態は、フローサイトメトリーによって上記細胞を観察する工程をさらに含む。【0156】さらにより多くの実施形態において、上記方法は、上記蛍光応答を、検出可能に異なる光学的特性を有する第2の発蛍光団のものから区別する工程をさらに包含する。【0157】他の実施形態において、本開示は、分析物分子(例えば、生体分子)を視覚的に検出するための方法を提供し、上記方法は、
    (a)構造(I)の化合物(例えば、ここでRまたはRのうちの一方は、上記分析物分子への共有結合を含むリンカーであり、かつRまたはRのうちの他方は、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは-OP(=R)(R)Rである)を提供する工程;および
    (b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
    を包含する。【0158】いくつかの実施形態において、上記分析物分子は、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)である。さらにより多くの実施形態において、上記分析物分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。【0159】他の実施形態において、分析物分子(例えば、生体分子)を視覚的に検出するための方法が提供され、上記方法は、
    (a)前述の化合物のうちのいずれかと1もしくはこれより多くの分析物分子とを混合する工程;および
    (b)上記化合物をその視覚的特性によって検出する工程
    を包含する。【0160】他の実施形態において、分析物分子を視覚的に検出するための方法が提供され、上記方法は、
    (a)RまたはRはQまたはQへの共有結合を含むリンカーである請求項1に記載の化合物と、上記分析物分子とを混合する工程;
    (b)上記化合物および上記分析物分子の結合体を形成する工程;ならびに
    (c)上記結合体を、その視覚的特性によって検出する工程、
    を包含する。【0161】他の例示的方法は、分析物を検出するための方法を包含し、上記方法は、
    (a)RまたはRは、上記分析物に対する特異性を有する標的化部分への共有結合を含むリンカーを含む構造(I)の化合物を提供する工程;
    (b)上記化合物および上記分析物を混合し、それによって、上記標的化部分および上記分析物を会合させる工程;ならびに
    (c)上記化合物を、例えば、その視覚的特性または蛍光特性によって検出する工程、
    を包含する。【0162】前述の方法のある種の実施形態において、分析物は、粒子(例えば、細胞)であり、上記方法は、フローサイトメトリーの使用を含む。例えば、上記化合物は、所望の細胞と選択的に会合させ、従って、任意の数の技術(例えば、視覚的または蛍光検出)によって上記細胞を検出可能にするための標的化部分(例えば、抗体)を提供される。適切な抗体は、所望の最終用途に依存して、当業者によって選択され得る。ある種の実施形態における使用のための例示的な抗体としては、UCHT1およびMOPC-21が挙げられる。【0163】本発明の化合物の実施形態は、従って、任意の数の方法において有用性が見出され、有用性としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞計数;細胞ソーティング;生体マーカー検出;アポトーシスを定量する;細胞生存性を決定する;細胞表面抗原を同定する;全DNAおよび/またはRNA含有量を決定する;特異的核酸配列を(例えば、核酸プローブとして)同定する;および疾患(例えば、血液のがん)を診断する。【0164】いくつかの他の異なる実施形態において、構造(I)の化合物は、細胞分析のために様々に使用され得る。例えば、フローサイトメトリーの使用によって、上記化合物は、生細胞と死細胞との間を識別し、細胞の健康状態を評価し(例えば、壊死 対 早期のアポトーシス 対 後期のアポトーシス 対 生細胞)、細胞周期の間の倍数性および有糸分裂を追跡し、そして細胞増殖の種々の状態を決定するために使用され得る。理論によって拘束されることは望まないが、構造(I)の化合物の実施形態は、正に荷電した部分と優先的に結合または他の方法で会合すると考えられる。よって、いくつかの実施形態において、上記化合物は、インタクトでない細胞、例えば、壊死細胞の存在を決定するための方法において使用され得る。例えば、壊死細胞の存在は、細胞を含むサンプルと構造(I)の化合物とを混合すること、および上記混合物をフローサイトメトリーによって分析することによって決定され得る。構造(I)の化合物は、壊死細胞と結合または会合し、従って、これらの存在は、フローサイトメトリー条件下で検出可能である。壊死細胞に結合するためにアミン反応性基(または他の反応性基)を要する他の染色試薬とは対照的に、構造(I)の化合物を使用する染色法の実施形態は、タンパク質を含まないインキュベーション緩衝液を要せず、従って、上記方法は、関連する公知の方法より効率的に行われる。【0165】よって、いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の死細胞の存在を決定するための方法を提供し、上記方法は、上記サンプルと構造(I)の化合物とを接触させ、それによって、上記化合物と上記死細胞とを結合または会合させる工程、および上記死細胞と結合または会合した化合物からの蛍光シグナルを観察する工程を包含する。例えば、いくつかの実施形態は、上記死細胞と結合または会合した上記化合物を観察するためのフローサイトメトリーの使用を含む。上記で注記したように、ある種の方法は、上記死細胞と結合または会合するために、反応性基の使用を必要としない。よって、ある種の実施形態において、死細胞の同定における使用のための構造(I)の化合物は、RおよびRが各々独立して、OHまたは-OP(=R)(R)Rである、構造(I)の化合物である。【0166】種々の他の実施形態において、上記化合物は、インタクトなもしくはインタクトでない細胞、アポトーシス小体、脱分極した膜および/または透過化した膜における正に荷電した部分の存在を決定するための関連法において使用され得る。【0167】上記の方法に加えて、構造(I)の化合物の実施形態は、種々の学問分野および方法における有用性(以下が挙げられるが、これらに限定されない:がん組織および他の組織の同定のための内視鏡検査手順における画像化;単一細胞および/または単一分子分析法、例えば、増幅がほぼないかもしくは全くないポリヌクレオチドの検出;例えば、がん細胞に優先的に結合する抗体もしくは糖または他の部分などの標的部分を構造(I)の化合物に含めることによるがんの画像化;手術手順における画像化;種々の疾患の同定のためのヒストンの結合;例えば、構造(I)の化合物におけるM部分を活性薬物部分で置き換えることによる薬物送達;ならびに/あるいは例えば、種々の叢および/または生物への構造(I)の化合物の優先的結合による歯科作業および他の手順における造影剤)が見出される。【0168】構造(I)の化合物のうちの任意の実施形態(上で示されるとおり)ならびに構造(I)の化合物においてR、R、R、R、R、L、L’、L、L、L、L、M、M′、m、m、n、x、yおよび/またはzの変数について本明細書で示される任意の具体的選択(上で示されるとおり)は、独立して、構造(I)の化合物の他の実施形態および/または変数と組み合わされて、上では具体的には示されない本発明の実施形態を形成し得ることは理解される。さらに、選択肢のリストが、特定の実施形態および/または請求項における任意の特定のR、R、R、R、R、L、L、L、L、L、Q、M、M′、m、m、n、x、yおよび/またはzの変数に関して列挙される場合において、各個々の選択は、上記特定の実施形態および/または請求項から削除され得ること、ならびにその残りの選択の列挙は、本発明の範囲内にあると考えられることは、理解される。【0169】本明細書において、示される式の置換基および/または変数の組み合わせは、このような寄与が安定な化合物を生じる場合にのみ許容可能であることは、理解される。【0170】本明細書で記載されるプロセスにおいて、中間体化合物の官能基が、適切な保護基によって保護される必要があり得ることはまた、当業者によって認識される。このような官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノの適切な保護基としては、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトの適切な保護基としては、-C(O)-R”(ここでR”は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基としては、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知でありかつ本明細書で記載されるとおりである標準的技術に従って付加または除去され得る。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis(1999)、3rd Ed., Wileyに詳細に記載される。当業者が認識するように、上記保護基はまた、ポリマー樹脂(例えば、Wang樹脂、Rink樹脂または2-クロロトリチル-クロリド樹脂)であり得る。【0171】さらに、遊離塩基または酸形態で存在する全ての本発明の化合物は、当業者に公知の方法による適切な無機塩基もしくは有機塩基または無機酸もしくは有機酸での処理によって、それらの塩に変換され得る。本発明の化合物の塩は、標準的技術によってそれらの遊離塩基形態または遊離酸形態へと変換され得る。【0172】以下の反応スキームは、本発明の化合物を作製するための例示的方法を例証する。当業者がこれら化合物を類似の方法によってまたは当業者に公知の他の方法を組み合わせることによって作製する能力があり得ることは、理解される。当業者が以下に記載されるのと類似の様式で、適切な出発構成要素を使用し、必要な場合には、合成のパラメーターを改変することによって、以下で具体的に例証されない構造(I)の他の化合物を作製し得ることもまた、理解される。一般に、出発構成要素は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis, Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなどのような供給源から得られ得るか、または当業者に公知の出典に従って合成され得る(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure、5th edition(Wiley, December 2000)を参照のこと)か、または本発明において記載されるとおり調製され得る。【0173】構造(I)の化合物の実施形態は、実施例に示される一般的手順に従って調製される。構造(I)の化合物の調製のための中間体の調製に有用な方法は、以下に示される。【0174】反応スキームI

    【化19】
    【0175】反応スキームIは、構造(I)の化合物の調製に有用な中間体を調製するための例示的方法を例証する。反応スキームI(ここでR、L、L、L、GおよびMは上記で定義されるとおりであり、そしてRおよびRは、上記で定義されるとおりであるかまたはその保護された改変体である)を参照すると、構造aの化合物(これは、購入され得るかまたは周知の技術によって調製され得る)をM-G’と反応させて、構造bの化合物を得る。ここでGおよびG’は、相補的反応性を有する官能基(すなわち、反応して共有結合を形成する官能基)を表す。G’は、Mへのペンダントであり得るかまたはMの構造的骨格の一部であり得る。GおよびG’は、任意の数の本明細書中に記載される官能基、例えば、それぞれアルキンおよびアジド、それぞれアミンおよび活性化エステル、またはそれぞれアミンおよびイソチオシアネート、などであり得る。【0176】構造(I)の化合物の調製のための中間体は、周知の自動化DNA合成条件下での以下の構造(c):

    【化20】
    を有するホスホロアミダイト化合物(ここでLは、独立して、任意のリンカーである)との反応、続いて、構造bの別の化合物との反応によって、構造bから調製され得る。【0177】マルチマー化合物は、所望の数の構造bの化合物を、連続的に適切なホスホロアミダイト試薬とDNA合成条件下で反応させることによって調製される。【0178】あるいは、上記化合物は、以下の構造d:

    【化21】
    を有するダイマー化合物またはオリゴマー化合物を、代表的なDNA合成条件下で先ず合成する工程、次いで、構造dの化合物とM-L1b-G′とを反応させる工程によって、調製され、ここで、Gは、各存在において、独立して、相補的反応性基G′と共有結合を形成できる反応性基を含む部分であり;L1aおよびL1bは、各存在において、独立して、任意のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;そしてM、L2、L3、R1、R2、R3およびnは、構造(I)の化合物に関して本明細書で定義されるとおりである。構造(I)の化合物の残部は、次いで、当該分野で公知の方法に従って付加される。【0179】DNA合成法は、当該分野で周知である。簡潔には、2個のアルコール基(例えば、上記の中間体bまたはdの中のRおよびR)は、それぞれ、ジメトキシトリチル(DMT)基および2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノホスホロアミダイト基で官能化される。上記ホスホロアミダイト基は、代表的には、テトラゾールのような活性化因子の存在下でアルコール基にカップリングされ、続いて、ヨウ素でリン原子の酸化が行われる。上記ジメトキシトリチル基は、酸(例えば、クロロ酢酸)で除去されて、遊離アルコールを露出させ得、これは、ホスホロアミダイト基と反応させられ得る。この2-シアノエチル基は、水性アンモニアでの処理によるオリゴマー化の後に除去され得る。【0180】上記オリゴマー化方法において使用されるホスホロアミダイトの調製もまた、当該分野で周知である。例えば、一級アルコール(例えば、R)は、DMT-Clとの反応によって、DMT基として保護され得る。次いで、二級アルコール(例えば、R)は、2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイトのような適切な試薬との反応によってホスホロアミダイトとして官能化される。ホスホロアミダイトの調製およびそれらのオリゴマー化の方法は、当該分野で周知であり、実施例の中でより詳細に記載される。【0181】以下の実施例は、例証目的で提供されるのであって、限定目的で提供されるのではない。【0182】一般的方法
    H NMRスペクトルを、JEOL 400MHz分光計で得た。Hスペクトルは、TMSを基準とした。逆相HPLC染料分析を、45℃で保持した2.1mm×50mm Acquity BEH-C18カラム付きのWaters Acquity UHPLCシステムを使用して行った。質量分析を、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/MSシステムで(MSのみモードで)、MassLynx 4.1獲得ソフトウェアを使用して行った。染料に関してLC/MSに使用した移動相は、100mM 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、8.6mM トリエチルアミン(TEA)、pH8であった。ホスホロアミダイトおよび前駆体分子を、アセトニトリル/水移動相勾配を使用して、45℃において保持した2.1mm×50mm Acquity BEH-C18カラムを備えたWaters Acquity UHPLCシステムを使用して、分析した。モノマー中間体の分子量を、Waters/Micromass Quattro micro MS/MSシステム(MSのみモードで)でのトロピリウムカチオン注入増強イオン化(tropylium cation infusion enhanced ionization)を使用して得た。励起および発光プロフィール実験を、Cary Eclipse分光光度計で記録した。【0183】全ての反応を、別段述べられなければ、窒素雰囲気下でオーブン乾燥したガラス器具の中で行った。市販のDNA合成試薬を、Glen Research(Sterling, VA)から購入した。無水ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、ピリジン、およびTHFを、Aldrichから購入した。全ての他の化学物質を、AldrichまたはTCIから購入し、さらに精製せずにそのまま使用した。【0184】構造(I)の化合物を、ABI 394 DNA合成機で、ホスホロアミダイトベースのカップリングアプローチの標準プロトコルを使用して合成した。オリゴヌクレオチドホスホロアミデート合成のための鎖アセンブリサイクルは、以下であった:(i)脱トリチル化、ジクロロメタン中3% トリクロロ酢酸、1分間;(ii)カップリング、アセトニトリル中0.1M ホスホロアミダイトおよび0.45M テトラゾール、10分間;(iii)キャップ形成、THF/ルチジン、1/1(v/v)中0.5M 無水酢酸、15秒間;(iv)酸化、THF/ピリジン/水、10/10/1(v/v/v)中0.1M ヨウ素、30秒間。【0185】上記サイクル内の化学的工程の次に、アセトニトリル洗浄および乾燥アルゴンでのフラッシュを0.2~0.4分間行った。支持体からの切断ならびに塩基およびホスホロアミデート保護基の除去を、1時間、室温においてアンモニアで処理することによって達成した。次いで、オリゴヌクレオチド染料を、上記のように逆相HPLCによって分析した。【0186】実施例1
    二価ピレンホスホロアミダイトの調製

    【化22】
    【0187】ジブロモ-ペリレンの調製。撹拌子を備えた500mL丸底フラスコの中で、ペリレン(2000mg, 7.94mmol)をTHF(320mL)中に溶解した。これに、N-ブロモスクシンイミド(4240mg, 23.8mmol)を一度に添加し、その混合物を、一晩撹拌させた。その混合物を、撹拌しながらゆっくりと水(1500mL)に注いだ。30分間の撹拌後に、濾過によって固体を集め、真空下で乾燥させて、ジブロモペリレン(2400mg, 91%)を得た。【0188】ペリレン-C6-ジオールの調製。オーブンで乾燥させた、撹拌子を備えた250mL丸底フラスコを、窒素下で冷却した。そのフラスコに、5-ヘキセン-1-オール(378μL, 3.2mmol)およびTHF(48mL)を装填し、窒素下に置いた。これに、THF中の9-BBNの溶液(16mL, 8.0mmol, 0.5M)を添加し、その反応容器に還流冷却器を備え付け、一晩加熱還流させた。18時間後、その反応物を室温へと冷却し、脱気したリン酸カリウム溶液(0.94mL, 4.0mmol, 4.2M)を添加した。ジブロモペリレン(330mg, 0.8mmol)を添加し、長い針を介してその混合物に直接窒素を通気することによって、その混合物を15分間脱気した。その針を外し、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(59mg, 0.08mmol)を一度に添加した。その反応容器に、還流冷却器を再度備え付け、窒素下に置き、一晩還流させた。その混合物を室温へと冷却し、ジクロロメタン(100mL)で希釈し、セライトを通して濾過し、濃縮した。その油状残渣を、ヘキサン/酢酸エチル勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のジオールを油状物として得た(129mg, 30%)。【0189】ペリレンC6-DMT-OHの調製。撹拌子を備えた20mL丸底フラスコの中に、ペリレンジオール(125mg, 0.34mmol)およびピリジン(2mL)を入れ、その混合物を完全に溶解するまで撹拌した。そのフラスコを、氷上に15分間置き、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(110mg, 0.3mmol)を添加し、その混合物を4℃で一晩撹拌した。メタノール(1mL)を添加して、その反応をクエンチし、10分間、4℃において撹拌させた。その混合物をロータリーエバポレーター(バス温度<45℃)で濃縮した。その残渣を酢酸エチル中に再溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理した。その層を分液漏斗によって分配し、その有機層を保持した。その水層を酢酸エチルで2回抽出し、その有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その有機層を濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。その粗製生成物を、トルエン/メタノール勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによってさらに精製して、所望の保護されたアルコールを油状物として得た(118mg, 52%)。【0190】ペリレン-DMT-OHのホスフィチル化。撹拌子を備えた50mL丸底フラスコの中に、乾燥ジクロロメタン(4.2mL)中のペリレンDMT-OH(70mg, 0.10mmol)を入れた。その混合物を、アルコールが完全に分散するまで撹拌した。2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(46.4, 0.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(90.7μL, 0.5mmol)を添加し、その反応物を2時間撹拌した。その混合物をジクロロメタン(25mL)で希釈し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。その層を抽出漏斗中で分配し、その有機層を保持した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、油状物へと濃縮し、固相合成において直接使用した(101mg, 86%)。【0191】実施例2
    二価ピレンホスホロアミダイトの代替の調製

    【化23】
    【0192】ペリレン-C3-ジオールの調製。オーブンで乾燥させた、撹拌子を備えた500mL丸底フラスコを、窒素下で冷却した。そのフラスコに、5-ヘキセン-1-オール(2662μL, 39mmol)およびTHF(215mL)を装填し、窒素下に置いた。これに、THF中の9-BBNの溶液(176mL, 8.0mmol, 0.5M)を添加し、その反応容器に、還流冷却器を備え付け、一晩加熱還流させた。18時間後、その反応物を室温へと冷却し、脱気したリン酸カリウム溶液(mL, 24.4mmol, 4.2M)を添加した。ジブロモペリレン(2000mg, 4.9mmol)を添加し、長い針を介してその混合物に直接窒素を通気することによって、その混合物を15分間脱気した。その針を外し、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(357mg, 0.5mmol)を一度に添加した。その反応容器に還流冷却器を再び備え付け、窒素下に置き、一晩還流させた。その混合物を室温へと冷却し、ジクロロメタン(250mL)で希釈し、セライトを通して濾過し、濃縮した。その油状残渣を、ヘキサン/酢酸エチル勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のジオールを油状物として得た(912mg, 41%)。【0193】ペリレンC3-DMT-OHの調製。撹拌子を備えた50mL丸底フラスコの中に、ペリレンジオール(1000mg, 2.71mmol)およびピリジン(14mL)を入れ、その混合物を完全に溶けるまで撹拌した。そのフラスコを氷上に15分間置き、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(890mg, 2.0mmol)を添加し、その混合物を4℃で一晩撹拌した。メタノール(5mL)を添加して、その反応をクエンチし、10分間、4℃で撹拌させた。その混合物をロータリーエバポレーター(バス温度<45℃)で濃縮した。その残渣を酢酸エチル中に再溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理した。その層を分液漏斗によって分配し、その有機層を保持した。その水層を酢酸エチルで2回抽出し、その有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その有機層を濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。その粗製生成物を、トルエン/メタノール勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによってさらに精製して、所望の保護されたアルコールを油状物として得た(624mg, 34%)。【0194】ペリレン-DMT-OHのホスフィチル化。撹拌子を備えた100mL丸底フラスコの中に、乾燥ジクロロメタン(37mL)中のペリレンDMT-OH(623mg, 0.93mmol)を入れた。その混合物を、アルコールが完全に溶解するまで撹拌した。2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(413μL, 1.9mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(807μL、4.6mmol)を添加し、その反応物を2時間撹拌した。次いで、その反応混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。その層を抽出漏斗中で分配し、その有機層を保持した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、油状物へと濃縮した。さらなる精製を、シリカゲルクロマトグラフィーで達成して、所望の生成物を油状物として得た(401mg, 49%)。【0195】実施例3
    構造(I)の化合物の合成【0196】化合物を、1μmolまたは10μmolスケールのいずれかで、Applied Biosystems 394 DNA/RNA合成機またはGE AKTAE 10 OligoPilotで合成したところ、3’-ホスフェート基を有した。染料を、CPGビーズまたはポリスチレン固体支持体上に直接合成した。その染料を3’から5’方向において、標準的固相DNA法によって合成した。カップリング法は、標準的β-シアノエチルホスホロアミダイト化学条件を使用した。全てのホスホロアミダイトモノマーを、アセトニトリル/ジクロロメタン(0.1M 溶液)に溶解し、以下の合成サイクルを使用して連続順序で付加した:1)トルエン中のジクロロ酢酸での5’-ジメトキシトリチル保護基の除去、2)次のアセトニトリル中のホスホロアミダイトと活性化因子とのカップリング、3)ヨウ素/ピリジン/水での酸化、および4)無水酢酸/1-メチルイミダゾール(1-methylimidizole)/アセトニトリルでのキャップ形成。ペリレンホスホロアミダイト(100mg)を、乾燥アセトニトリル(700μL)およびジクロロメタン(300μL)中に溶解した。少しのシーブをフラスコに添加し、それをアルゴンで覆った。配列決定機を、上記のように利用した。合成サイクルを、5’オリゴフルオロシド(oligofluoroside)がアセンブリされるまで反復した。鎖アセンブリの最後に、上記モノメトキシトリチル(MMT)基またはジメトキシトリチル(DMT)基を、ジクロロメタン中のジクロロ酢酸またはトルエン中のジクロロ酢酸で除去した。その染料を、室温において2~4時間、水性の濃水酸化アンモニウムを使用して、固体支持体から切断した。その生成物を真空中で濃縮し、Sephadex G-25カラムを使用して、主要生成物を単離した。分析を、分子量決定のために質量分析計と繋いでRP-HPLC法で行った。【0197】実施例4
    アルキンホスホロアミダイトの合成

    【化24】
    【0198】構造(I)の化合物のある種の実施形態の調製に有用なホスホロアミダイトを、以下のように調製した。【0199】滴下漏斗および磁気撹拌装置を備えた500mL丸底フラスコの中に、ジクロロメタン(75mL)中のクロロギ酸プロパルギル(1.3mL)を入れた。そのフラスコを窒素でパージした。別個のビーカーの中に、ジクロロメタン(60mL)、メタノール(10mL)およびトリエチルアミン(1.4mL)中のアミノアルコール6(2.0g)を入れた。滴下漏斗に、そのアミノアルコール溶液を装填し、30分間かけて滴下により添加した。そのフラスコを2時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が完了したことを示した。その反応物をロータリーエバポレーターで濃縮し、高真空下でさらに乾燥させ、次の工程で直接使用した。【0200】磁気撹拌装置を備えた500mL丸底フラスコの中に、カルバメート7(約3.1g)を入れた。ピリジンをそのフラスコへと添加し(270mL)、撹拌を開始した。そのカルバメートが一旦溶解した後に、その溶液を氷上に置き、窒素下で15分間撹拌した。ジメトキシトリチルクロリド(5.9g)を、粉末漏斗によって一度にそのフラスコへと添加した。そのフラスコを窒素で再度パージし、0℃で1時間撹拌した。そのフラスコを氷から取り出し、室温で一晩撹拌した。メタノールを添加し(10mL)、その混合物を10分間撹拌した。その混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分をTLCによって決定し、プールし、最終油状物へと濃縮して、モノ保護されたジオール8(3.3g)を得た。【0201】磁気撹拌子を備えた100mL丸底フラスコの中に、モノ保護されたジオール8(500mg)およびジクロロメタン(5mL)を入れた。その混合物を、その出発物質が溶解するまで撹拌した。ジイソプロピルエチルアミン(600mg)および2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(440mg)を、別個のシリンジで同時に滴下により添加した。その混合物を1時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が完了したことを示した。その物質を炭酸水素ナトリウム溶液へと注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、油状物へと濃縮した。さらなる精製を、5% トリエチルアミンを含むジクロロメタンでのシリカゲルクロマトグラフィーによって達成した。生成物画分をTLCによって同定し、プールし、濃縮した。その最終生成物を、透明な油状物(670mg)として単離した。【0202】実施例5
    アジド含有染料部分の調製

    【化25】
    【0203】構造(I)の化合物のある種の実施形態の調製に有用なアジド含有フルオレセイン部分を、以下のように調製した。【0204】磁気撹拌子および滴下漏斗を備えた250ml丸底フラスコの中に、FAM-NHSエステル2(2.24g)を入れた。ジクロロメタン(35mL)をそのフラスコに添加し、撹拌を開始し、フラスコを窒素下に置いて、氷上で冷却した。別個のビーカーの中で、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(420μL)をジクロロメタン(35mL)、メタノール(7mL)およびトリエチルアミン(1.5mL)中に溶解し、その得られた溶液を滴下漏斗に装填した。そのアミン溶液を、NHSエステルへと30分間かけて滴下により添加した。その最終溶液を1時間、0℃において撹拌し、そのフラスコを、アイスバスから取り出し、室温で2時間撹拌した。その反応混合物を濃縮し、その粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分を、TLCおよびLC/MSによって試験し、プールして、1.6g(72%)を得た。【0205】磁気撹拌子を備えた250mL丸底フラスコの中に、FAMアルコール3(1.5g)およびクロロホルム(25mL)を入れた。この溶液に、ピリジン(470μL)およびp-トルエンスルホニルクロリド(691mg)を添加した。その混合物を24時間撹拌したところ、その時点でTLCは反応が不完全であることを示したので、さらなるp-トルエンスルホニルクロリド(1.4g)およびピリジン(1.5mL)を添加し、その混合物をさらに24時間撹拌した。48時間後の反応物のTLCは、その反応が完了したことを示した。その混合物を、抽出漏斗の中の飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)およびジクロロメタン(100mL)へと注ぎ、分配した。その有機層を保持し、水層をジクロロメタン(100mL)でさらに2回抽出した。その有機層をプールし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分をTLCによって同定し、プールして、所望のトシレート4(1.8g)を得た。【0206】磁気撹拌装置を備えた200mL丸底フラスコの中に、FAM-トシレート4(1.8g)を入れ、DMF(15mL)を添加し、その混合物を撹拌して、溶解をもたらした。これに、アジ化ナトリウム(830mg)を添加し、その混合物を50℃へと加熱し、一晩撹拌した。その混合物を、抽出漏斗中の100mM クエン酸(150mL)および酢酸エチル(150mL)へと注いだ。その層を分配し、その有機層を保持した。その水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その溶液を濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。その粗製油状物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、生成物画分をTLCによって同定し、プールした。その生成物を真空下で濃縮して、所望のFAM-アジド5を橙色固体(0.82g)として得た。LCMSは、所望の生成物と一致した。【0207】実施例6
    オリゴマー化合物の調製
    3マー、5マーおよび10マーのポリアルキンオリゴマーを、実施例4のホスホロアミダイトから調製した。代表的な3マーの染料を、以下のように調製した:【0208】500μL微量遠心分離チューブの中に、ホスフェート緩衝液の溶液(31.5μL、150mM、pH=7.4)を入れた。これに、アジ化クマリンの溶液(22.5μL、DMSO中10mM)およびポリアルキンの溶液(7.5μL、水中1mM)を添加した。別個の200μL微量遠心分離チューブの中に、硫酸銅の溶液(3.0μL、50mM)、トリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミンの溶液(THPTA、3.0μL、100mM)およびアスコルビン酸ナトリウムの溶液(7.5μL、100mM)を入れた。その銅の溶液を混合し、その内容物全体を、アジ化クマリン/ポリアルキンチューブへと添加した。その反応物を混合し、一晩室温でインキュベートさせた。その混合物を水(75μL)で希釈し、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200 increase 5/150 GL、PBSでの均一濃度溶離、0.25mL/分、405nMおよび260nMでの検出)によって精製した。【0209】クマリン部分またはフルオレセイン部分のいずれかを有する3マー、5マーおよび10マーの染料を、類似の様式で調製した。このようにして調製したオリゴマー染料を、実施例3に従って調製される化合物に結合体化する。あるいは、実施例1および実施例4のホスホロアミダイトを、適切なスペーサーホスホロアミダイト(Glenn Researchから市販)と組み合わせて上記で記載されるとおりの標準的DNAカップリング手順の下で使用して、オリゴマーを得、これは、上記に記載されるように、構造(I)の化合物に変換され得る。【0210】本明細書において言及される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物の全ては、本記載と矛盾しない程度までそれらの全体において本明細書に参考として援用される。【0211】前述から、本発明の具体的実施形態が例証目的のために本明細書で記載されてきたものの、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることは認識される。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。

    本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
    〔1〕
    以下の構造(I):

    【化26】
    を有する化合物、またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体であって、ここで
    Mは、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む一価の部分であり;
    M′は、各存在において、独立して、2個またはこれより多くの炭素-炭素二重結合および少なくとも1の共役度を含む二価の部分であり;
    L、L 2 およびL 3 は、各存在において、独立して、選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンまたはヘテロ原子リンカーであり;
    L 1 は、各存在において、独立して、i)選択肢的なアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレンもしくはヘテロ原子リンカー;またはii)2個の相補的反応性基の反応によって形成できる官能基を含むリンカー、のいずれかであり;
    L 4 は、各存在において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、炭素環式または複素環式リンカーであり;
    R 1 は、各存在において、独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり;
    R 2 およびR 3 は、各々独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=R a )(R b )R c 、QまたはL’であり;
    R 4 は、各存在において、独立して、OH、SH、O  、S  、OR d またはSR d であり;
    R 5 は、各存在において、独立して、オキソ、チオキソまたは非存在であり;
    R a は、OまたはSであり;
    R b は、OH、SH、O  、S  、OR d またはSR d であり;
    R c は、OH、SH、O  、S  、OR d 、OL’、SR d 、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり;
    R d は、対イオンであり;
    Qは、各存在において、独立して、分析物分子、標的化部分、固体支持体または相補的反応性基Q′と共有結合を形成できる反応性基またはその保護されたアナログを含む部分であり;
    L’は、各存在において、独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的化部分への共有結合を含むリンカー、分析物分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカーまたは構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり;
    m 1 およびm 2 は、各存在において、独立して、0またはこれより大きな整数であり;
    n、xおよびyは、各々独立して、zの各整数値に対して0またはこれより大きな整数であり;そして
    zは、1またはこれより大きな整数であるが、
    ただしxは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きく、かつnまたはyのうちの少なくとも一方は、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい、
    化合物、またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。
    〔2〕
    yは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい、前記〔1〕に記載の化合物。
    〔3〕
    nは、zの少なくとも1個の整数値に対して1またはこれより大きい、前記〔1〕または〔2〕に記載の化合物。
    〔4〕
    以下の構造(IA):

    【化27】
    を有し、ここでyは、1またはこれより大きな整数である、前記〔1〕に記載の化合物。
    〔5〕
    yは、1~10の整数である、前記〔4〕に記載の化合物。
    〔6〕
    Lは、各存在において、独立して、C 1 -C 6 アルキレンリンカーである、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔7〕
    M′は、各存在において、独立して、二価:ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔8〕
    M′は、各存在において、独立して、二価:p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミドもしくはペリレンアミド、またはこれらの誘導体である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔9〕
    M′は、各存在において、独立して、二価:クマリン染料、レゾルフィン染料、ジピロメテンボロンジフルオリド染料、ルテニウムビピリジル染料、エネルギー移動染料、チアゾールオレンジ染料、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド染料である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔10〕
    M′は、各存在において、独立して、二価:ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAM、またはこれらの誘導体である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔11〕
    M′は、各存在において、独立して、以下の構造:

    【化28】
    のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔12〕
    M′は、各存在において、以下の構造:

    【化29】
    を有する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔13〕
    R 4 は、各存在において、独立して、OH、O  またはOR d である、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔14〕
    R 5 は、各存在において、オキソである、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔15〕
    R 1 は、Hである、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔16〕
    R 2 およびR 3 は、各々独立して、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c である、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔17〕
    R 2 またはR 3 のうちの一方は、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c であり、R 2 またはR 3 のうちの他方は、QまたはQへの共有結合を含むリンカーである、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔18〕
    Qは、求核性反応性基、求電子性反応性基または環化付加反応性基を含む、前記〔1〕~〔15〕または〔17〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔19〕
    Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、ジエノフィル、酸ハライド、スルホニルハライド、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノまたはマレイミド官能基を含む、前記〔18〕に記載の化合物。
    〔20〕
    前記活性化エステルは、N-スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニルエステルである、前記〔19〕に記載の化合物。
    〔21〕
    前記アジドは、アルキルアジドまたはアシルアジドである、前記〔19〕に記載の化合物。
    〔22〕
    Qは、表1から選択される部分である、前記〔1〕~〔15〕または〔17〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔23〕
    R 2 またはR 3 のうちの一方は、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c であり、R 2 またはR 3 のうちの他方は、分析物分子への共有結合を含むリンカーまたは固体支持体への共有結合を含むリンカーである、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔24〕
    前記分析物分子は、核酸、アミノ酸またはこれらのポリマーである、前記〔23〕に記載の化合物。
    〔25〕
    前記分析物分子は、酵素、レセプター、レセプターリガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである、前記〔23〕に記載の化合物。
    〔26〕
    前記固体支持体は、ポリマービーズまたは非ポリマービーズである、前記〔23〕に記載の化合物。
    〔27〕
    Mは、各存在において、独立して、4個もしくはこれより多くのアリールもしくはヘテロアリール環、またはこれらの組み合わせを含む部分である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔28〕
    Mは、各存在において、独立して、蛍光性または有色である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔29〕
    Mは、蛍光性である、前記〔28〕に記載の化合物。
    〔30〕
    Mは、各存在において、独立して、少なくとも4個の縮合環を含む縮合多環式アリール部分を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔31〕
    Mは、各存在において、独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔32〕
    Mは、各存在において、独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミド、もしくはペリレンアミドまたはその誘導体である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔33〕
    Mは、各存在において、独立して、クマリン染料、レゾルフィン染料、ジピロメテンボロンジフルオリド染料、ルテニウムビピリジル染料、エネルギー移動染料、チアゾールオレンジ染料、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド染料である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔34〕
    Mは、各存在において、独立して、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAMまたはその誘導体である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔35〕
    Mは、各存在において、独立して、以下の構造:

    【化30】
    のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔36〕
    m 2 は、各存在において1である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔37〕
    m 1 は、各存在において、独立して、1~10の整数である、前記〔1〕~〔3〕または〔36〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔38〕
    L 4 は、各存在において、独立して、アルキレンまたはアルキレンオキシドリンカーである、前記〔1〕~〔3〕、〔36〕、または〔37〕のいずれか1項に記載の化合物。
    〔39〕
    以下の構造:

    【化31】
    を有する化合物であって、ここでyは、1より大きな整数である、化合物。
    〔40〕
    yは、1~10の整数である、前記〔39〕に記載の化合物。
    〔41〕
    サンプルを染色するための方法であって、該方法は、該サンプルに、前記〔1〕~〔40〕のいずれか1項に記載の化合物を、該サンプルが適切な波長で照射される場合に光学的応答を生じるために十分な量で添加する工程を包含する方法。
    〔42〕
    前記光学的応答は、蛍光応答である、前記〔41〕に記載の方法。
    〔43〕
    前記サンプルは、細胞を含む、前記〔41〕~〔42〕のいずれか1項に記載の方法。
    〔44〕
    前記細胞をフローサイトメトリーによって観察する工程をさらに包含する、前記〔43〕に記載の方法。
    〔45〕
    前記蛍光応答を、検出可能に異なる光学的特性を有する第2の発蛍光団の蛍光応答から区別する工程をさらに包含する、前記〔42〕に記載の方法。
    〔46〕
    分析物分子を視覚的に検出するための方法であって、該方法は、
    (a)R 2 またはR 3 は、該分析物分子への共有結合を含むリンカーである前記〔1〕~〔38〕のいずれか1項に記載の化合物を提供する工程;および
    (b)該化合物をその視覚的特性によって検出する工程、
    を包含する方法。
    〔47〕
    分析物分子を視覚的に検出するための方法であって、該方法は、
    (a)R 2 またはR 3 は、QまたはQへの共有結合を含むリンカーである前記〔1〕~〔38〕のいずれか1項に記載の化合物と、該分析物分子とを混合する工程;
    (b)該化合物および該分析物分子の結合体を形成する工程;ならびに
    (c)該結合体をその視覚的特性によって検出する工程、
    を包含する方法。
    〔48〕
    前記〔1〕~〔39〕のいずれか1項に記載の化合物および1もしくはこれより多くの分析物分子を含む、組成物。
    〔49〕
    前記1もしくはこれより多くの分析物分子の検出のための分析方法における前記〔48〕に記載の組成物の使用。
    〔50〕
    サンプル中の死細胞の存在を決定するための方法であって、該方法は、該サンプルと前記〔1〕~〔40〕のいずれか1項に記載の化合物とを接触させ、それによって、該化合物と該死細胞とを結合または会合させる工程、および該死細胞と結合または会合した該化合物からの蛍光シグナルを観察する工程を包含する方法。
    〔51〕
    前記死細胞と結合または会合した前記化合物を観察するためのフローサイトメトリーの使用をさらに包含する、前記〔50〕に記載の方法。
    〔52〕
    R 2 およびR 3 は、各々独立して、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c である、前記〔50〕または〔51〕のいずれか1項に記載の方法。
    〔53〕
    前記〔1〕~〔40〕のいずれか1項に記載の化合物およびシクロデキストリンを含む組成物。
    〔54〕
    前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンまたはγ-シクロデキストリンである、前記〔53〕に記載の組成物。
    〔55〕
    前記組成物は、水を含む、前記〔53〕または〔54〕のいずれか1項に記載の組成物。

出願番号JP2019526198A

出願日2017-07-27

公開番号JP2019527289

公開日2019-09-26

被引用件数 (JP・US) 0

引用件数 5

早期審査 (JP) 0

出願人ソニーグループ ソニーコーポレーションオブアメリカ

発明者マトライ トレイシー , ヴァンブラント マイケル

代理人/特許事務所中村合同特許法律事務所

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