微細なパターンにおいても良好な分散性(すなわち、導電性粒子を含有する樹脂組成物においては良好な導電性)と密着性を両立するパターンを得ることが可能な、樹脂組成物を提供する。 微粒子、一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)、並びにバインダー樹脂(C)を含有し、前記微粒子が、有機顔料(F)、または、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)である、樹脂組成物。(一般式(1)中、XはSi、Ti又はZr原子を示す。R1~R3はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基又は炭素数1~6の炭化水素基を示す。R1~R3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも一つはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基又はイソブトキシ基である。)
特許-権利維持
出願番号JP2021516506A
出願日2021-03-18
公開番号JPWO2021193354
公開日2021-09-30
登録番号JP7095803B
登録発行日2022-07-05
被引用件数 (JP・US) 0
引用件数 1
早期審査 (JP) 2
出願人東レ
発明者日比野 利保 , 此島 陽平
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】本発明は、樹脂組成物、配線基板及び導電性パターンの製造方法に関する。【背景技術】
【0002】近年、テレビやモバイル、カーナビゲーション、デジタルサイネージ等、様々なディスプレイで大型化、高精細化が進んでいる。大型化に伴っては電子配線の配線長が長くなるため、消費電力維持の観点から、配線の導電性向上、すなわち低抵抗化への要求が高まっている。高精細化についても、電子配線を微細化すると配線断面積が小さくなるため、配線抵抗を同等とするためには導電性を上げることが必要となる。【0003】電子配線に用いられる導電性パターンを形成する方法としては、導電性粒子とバインダー樹脂とを含有する樹脂組成物を用いてパターンを基板上に形成した後、加熱することにより導電性粒子を接触させ、導電性パターンを得る方法が一般的である(特許文献1)。基板上にパターンを形成する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法又はフォトリソグラフィー法が挙げられる。中でもスクリーン印刷法やインクジェット法は、微細パターンを形成するには不向きであり、微細パターンの形成にはフォトリソグラフィー法が適しているとされている。【0004】ここで、粒子径が十分に小さい導電性微粒子を用いることで粒子の表面エネルギーを低減し、導電性粒子同士の融着を促進して電子配線の導電性を上げる技術が知られている。粒子径が十分に小さい導電性微粒子を用いた樹脂組成物としては、表面被覆された銀微粒子(特許文献2)を用いた樹脂組成物が挙げられる。表面被覆された銀微粒子を用いることで、銀微粒子の表面エネルギーを適度に制御できる。【0005】一方、カラーフィルタ等に用いられる着色パターンについても同様に、高精細化が求められている。着色パターンは、顔料とバインダー樹脂とを含有する着色顔料含有樹脂組成物を用い、導電性パターンと同様な方法により形成される。【先行技術文献】
【0006】【特許文献1】
特開2000-199954号公報
【特許文献2】
特開2013-196997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】しかしながら、表面被覆された銀微粒子を用いた樹脂組成物においては、導電性を上げるために高温加熱等により銀微粒子表面の融着を促進させると、基材との密着性が低下するという課題があった。一方、密着性を付与するため、アミノ基を有する密着改良剤を添加する手法があるが、樹脂組成物中で銀微粒子の分散性を悪化させ、導電性を低下させるという課題があった。そのため、密着性と導電性向上の両立は困難であった。【0008】また、着色顔料含有樹脂組成物においても、アミノ基を有する密着改良剤を添加した場合、顔料の分散性が悪化し、保存安定性を低下させるという課題があった。【0009】本発明は、係る従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、分散性と密着性に優れたパターンを得ることであり、特に、導電性粒子を含有する樹脂組成物においては、導電性を上げるために銀微粒子表面の融着を促進させても、基材との密着性を維持することが可能な樹脂組成物を提供することにある。このような樹脂組成物を用いることにより、良好な分散性(すなわち、導電性粒子を含有する樹脂組成物においては良好な導電性)と密着性を両立するパターンを得ることができる。【課題を解決するための手段】
【0010】本発明者らは、鋭意検討した結果、樹脂組成物に基材密着性を高める構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)を含有させることが、上記課題の解決に極めて有効であることを見出した。【0011】すなわち本発明は、微粒子、一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)、並びにバインダー樹脂(C)を含有し、前記微粒子が、有機顔料(F)、または、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)である、樹脂組成物である。【0012】
【化1】
【0013】(一般式(1)中、XはSi、Ti又はZr原子を示す。R1~R3はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基又は炭素数1~6の炭化水素基を示す。R1~R3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも一つはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基又はイソブトキシ基である。)【発明の効果】
【0014】本発明の樹脂組成物によれば、微細なパターンにおいても良好な分散性(すなわち、導電性粒子を含有する樹脂組成物においては良好な導電性)と密着性を両立するパターンを得ることが可能となる。【発明を実施するための形態】
【0015】本発明の樹脂組成物は、微粒子、一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)、並びにバインダー樹脂(C)を含有し、前記微粒子が、有機顔料(F)、または、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)であることを特徴とする。【0016】[有機顔料(F)]
本発明の樹脂組成物は、微粒子として有機顔料(F)を含有することが好ましい。【0017】有機顔料としては着色有機顔料があり、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料などが挙げられる。【0018】有機顔料として、例えば、黒色有機顔料、混色有機顔料等が挙げられる。黒色有機顔料としては、例えば、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、ベンゾフラノン系顔料などが挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアンなどの色を有する2種以上の顔料を混色して疑似黒色化したものが挙げられる。これらの有機顔料を2種以上含有してもよい。これらの中でも、着色膜の遮光性をより向上させ、着色膜の導電性を調整する観点から、カーボンブラックが好ましい。【0019】また、本発明において、その効果をより顕著なものとするために、有機顔料(F)の表面は酸性処理されていることが好ましい。表面が酸性処理されていることにより、分散安定性が向上すると共に、化合物(B)との相互作用により、基材密着性を向上させることが可能となる。カーボンブラックの表面を酸性処理する方法としては、O3により表面を酸化する方法(特開平11-181326号公報)、表面の湿式酸化処理する方法(特許第4464081号公報)、およびスルホン酸基等の非ポリマー基からなる有機基による表面修飾する方法(国際公開第2006/044676号)等が知られている。【0020】本発明の樹脂組成物において、固形分100質量%に対し、有機顔料(F)の含有比率は、10~70質量%であることが好ましい。含有比率が10質量%以上であることにより、着色力のある被膜を薄膜にて形成することができる。含有比率は好ましくは20質量%以上である。一方、含有比率が70質量%以下であることにより、有機顔料(F)の分散安定性を向上させることができると共に基材との密着性も担保することができる。含有比率は好ましくは60質量%以下である。ここで全固形分とは、樹脂組成物が含有する成分の内、溶剤を除く全成分をいう。【0021】[炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)]
本発明の樹脂組成物は、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)(以下、単に「無機粒子(G)」と称することがある。)を含有することが好ましい。無機粒子(G)は、例えば炭素化合物等で表面被覆された粒子である。炭素化合物の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、またはそれらの酸化物、窒化物、硫化物、リン化物等が挙げられる。この中でも低温での無機粒子(G)同士の融着を抑制可能である観点から、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素またはこれらの酸化物が好ましい。無機粒子(G)を含有することにより、本発明の樹脂組成物の硬化物に導電性や遮光性等の種々の機能を付与することができる。また、無機粒子(G)の表面が炭素を含む被覆層により被覆されているため、低温での無機粒子(G)同士の融着を抑制し、粒子粗大化による解像度の低下や、残渣の発生を抑制することができる。さらに後述の熱によりアミノ基を生じる官能基と反応することにより、密着性を向上させることができる。【0022】無機粒子(G)としては、導電性粒子(A)が挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)等の金属微粒子が挙げられる。中でも金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含有する金属微粒子であることが好ましく、導電性向上の観点から銀の微粒子であることがより好ましい。【0023】炭素を含む被覆層で無機粒子の表面を被覆する方法としては、例えば、熱プラズマ法により反応性ガスと無機粒子を接触させる方法(特開2007-138287号公報)が挙げられる。無機粒子(G)の表面は、完全に被覆されていることが好ましいが、本目的が達成される限りにおいては、一部に被覆が不完全な粒子が存在することは許容される。【0024】被覆層の平均厚みは、0.1~10nmが好ましい。この範囲であれば、無機微細粒子同士の融着を抑制することで、微細パターン加工性を向上させ、かつ300℃以下の温度で熱処理することにより所望の機能をより向上させることができる。【0025】被覆層の平均厚みは、無機粒子(G)の熱天秤による質量減少を測定し、その値がすべて炭素の燃焼によるものと仮定し、粒子径から被覆層の平均厚みを炭素の密度を2.0として算出することができる。粒子径(Dp)が分かっている導電性粒子に炭素を平均厚みA(μm)で被覆し、炭素被覆した導電性粒子の個数をnとする。熱天秤測定で最初に秤取した質量をW1(g)、完全に炭素を燃焼させた後の質量をW2(g)、無機粒子の密度をρとすると、以下の式からDpとW2とが分かればnを算出することができる。
W2=π/6×Dp3ρ×n
そして、以下の式から被覆層の平均厚みAを算出することができる。
W1-W2={4/3×π(Dp/2+A)3-π/6×Dp3}×2.0×n
無機粒子(G)である導電性粒子(A)は炭素を含む被覆層を形成する材料の種類により、表面が酸性又は塩基性を帯びることがある。導電性粒子(A)を濃度1質量%で水に懸濁させた懸濁液のpHは4.0~10.0であることが好ましい。このpHは以下のようにして測定される。純水2.7g中に導電性粒子(A)0.3gを加え、濃度1質量%の懸濁液を調製し、その後、5分間攪拌し、15分間静置する。得られた懸濁液の上澄み液を採取し、pHメーターを用いて測定する。pHが4.0以上であることで、炭素被覆層が後述する分散剤と強固に相互作用するため、少ない分散剤含有量でも安定に分散できる。pHが10.0以下であることで、導電性粒子(A)とバインダー樹脂(C)との反応を抑制すると共に、樹脂組成物のpHを適切な範囲に保ち、保存安定性を良好にできる。導電性粒子(A)の懸濁液のpHを制御するためには、例えば、熱プラズマ法により導電性粒子(A)を作製する場合においては、反応性ガスの種類や導入割合を変更することで達成できる。【0026】微粒子の平均1次粒子径は、1~700nmであることが好ましい。特に、導電性粒子(A)の平均1次粒子径は、1~700nmであることが好ましい。平均1次粒子径が1nm以上であることにより、粒子比表面積を小さくすることができ、少ない分散剤量でも安定に分散できる。また、平均1次粒子径が700nm以下であることにより、微細なパターンを形成することができる。ここで微粒子の平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した100個の1次粒子の粒子径の平均値により算出する。それぞれの1次粒子の粒子径は、1次粒子における長径と短径を測定し、その平均値から算出する。【0027】本発明の樹脂組成物において、固形分100質量%に対し、無機粒子(G)の含有比率は、65~95質量%であることが好ましい。含有比率が65質量%以上であることにより、残留有機成分が、無機粒子(G)同士の接触を妨げず、無機粒子(G)が導電性粒子(A)である場合導電性がより向上する。含有比率は好ましくは75質量%以上である。一方、含有比率が95質量%以下であることにより、残留有機成分が、樹脂組成物中の無機粒子(G)の分散性を安定化させ、微細なパターンを形成することができ、基板上の残渣を低減することができる。含有比率は好ましくは85質量%以下である。ここで全固形分とは、樹脂組成物が含有する成分の内、溶剤を除く全成分をいう。【0028】全固形分に占める無機粒子(G)の割合は、樹脂組成物の全成分を定量分析することにより算出することができる。なお、後述する各成分の割合も同様の方法で算出することができる。【0029】樹脂組成物の全成分の分析方法は以下のとおりである。
(i) 樹脂組成物を有機溶媒で希釈し、1H-NMR測定、GC測定及びGC/MS測定をしてその概要を調べる。
(ii) 樹脂組成物を有機溶媒で抽出した後に遠心分離を行い、可溶成分と不溶成分とを分離する。
(iii) 上記不溶成分について、高極性有機溶媒で抽出した後に遠心分離を行い、可溶成分と不溶成分とをさらに分離する。
(iv) 上記(ii)及び(iii)で得られた可溶成分の混合液について、IR測定、1H-NMR測定及びGC/MS測定を行う。さらに、上記混合液をGPC分取する。得られた分取物についてIR測定及び1H-NMR測定を行う。また、該分取物については、必要に応じてGC測定、GC/MS測定、熱分解GC/MS測定及びMALDI/MS測定を行う。
(v) 上記(iii)で得られた不溶成分についてIR測定又はTOF-SIMS測定を行う。有機物が存在することが確認された場合には、熱分解GC/MS又はTPD/MS測定を行う。
(vi) 上記(i)、(iv)及び(v)の測定結果を総合的に判断することで、樹脂組成物が含有する各成分の含有率を求めることができる。なお、上記(iii)で用いる高極性有機溶媒としては、クロロホルム又はメタノール等が好ましい。【0030】[一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)]
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」と称することがある。)を含有する。【0031】
【化2】
【0032】一般式(1)中、XはSi、Ti又はZr原子を示す。R1~R3はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基又は炭素数1~6の炭化水素基を示す。R1~R3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも一つはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基又はイソブトキシ基である。【0033】炭素数1~6の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は直鎖であっても分岐していてもよく、一部または全体が環状であってもよい。炭素数1~6の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも立体障害が小さく、基板との密着を阻害しない観点から、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。【0034】化合物(B)は、パターンを形成した後、例えば100~300℃の温度範囲で、5~120分加熱することで、アミノ基が生成する。生成したアミノ基が有機顔料(F)または無機粒子(G)の表面と相互作用し、一般式(1)で表される構造が基材と相互作用することで、パターンと基材の密着性が向上する。密着性は、JIS K5600-5-6(1999年)に準拠し、クロスカット試験で評価することができる。さらに、R1~R3のうち、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基は加熱により脱離してシラノール基を生成し、シラノール基同士が縮重合して、一般式(2)で表される構造及びアミノ基を有する化合物(E)が生成する。【0035】
【化3】
【0036】(一般式(2)中、YはSi、Ti又はZr原子を示す。R4~R6はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、炭素数1~6の炭化水素基又は架橋酸素を示す。R4~R6はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも一つは架橋酸素である。)
一方、加熱前の樹脂組成物中では化合物(B)中にアミノ基が存在しないため、化合物(B)が有機顔料(F)または無機粒子(G)の表面と反応せず、安定に存在できる。そのため、樹脂組成物の保存中には、粘度変化や、有機顔料(F)または無機粒子(G)の分散性悪化による機能阻害を防ぎ、樹脂組成物の塗布膜中では現像残渣による基板の透過率低下を引き起こすことがない。また、パターン加工性を向上させることができる。ここで、アミノ基を生じる目的の加熱と、樹脂組成物パターンに機能を付与する目的の加熱を同時に行うこともできる。【0037】一般式(1)の中心元素Xとしては、反応性の観点から、Siであることが好ましい。また、一般式(1)のR1~R3としては、基材との密着性の観点から、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることがより好ましい。【0038】熱によりアミノ基を生じる官能基としては、アミド基、イミン基、ウレイド基およびイソシアネート基が挙げられる。これらの官能基の少なくとも一種を用いることで、樹脂組成物及び塗布膜の安定性を高め、加熱後の基材との密着性をより向上できる。樹脂組成物の有機顔料(F)や無機粒子(G)の分散安定性を高めて導電性をより向上させ、残渣を抑制させる観点から、特にウレイド基が好ましい。【0039】化合物(B)は、具体的には、3-トリメトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-トリプロポキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-トリメトキシシリル-N-(フェニルメチレン)プロピルアミン、3-トリエトキシシリル-N-(フェニルメチレン)プロピルアミン、3-トリプロポキシシリル-N-(フェニルメチレン)プロピルアミン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及び3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられる。中でも、ウレイド基を有する化合物として、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシランがより好ましい。特に好ましくは、3-ウレイドプロピルトリメトキシシランが挙げられる。【0040】本発明の樹脂組成物において、化合物(B)の含有量は、微粒子100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましい。特に、導電性粒子(A)100質量部に対し、0.1~2.5質量部であることが好ましい。含有量が0.1質量部以上であることで密着性をより向上できる。化合物(B)の含有量は、より好ましくは0.5質量部以上である。一方、含有量が2.5質量部以下であることで、導電性をより向上させることができる。化合物(B)の含有量は、より好ましくは1.0質量部以下である。【0041】本発明の樹脂組成物において、化合物(B)の含有量は、有機顔料(F)100質量部に対し、0.5~10質量部であることが好ましい。含有量が0.5質量部以上であることで密着性をより向上できる。化合物(B)の含有量は、より好ましくは1.0質量部以上である。一方、含有量が10質量部以下であることで、保存安定性をより向上させることができる。化合物(B)の含有量は、より好ましくは7.0質量部以下である。【0042】[バインダー樹脂(C)]
本発明の樹脂組成物は、バインダー樹脂(C)を含有する。バインダー樹脂(C)は樹脂組成物の粘度等に合わせて適切に選択されるものであり、特に制限をうけない。バインダー樹脂(C)としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリビニルブチラールなどのアセタール系樹脂、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどを重合して得られるアクリル系樹脂などが好ましく使用されるが、組成設計の容易さの観点より、アクリル系樹脂が特に好ましい。ここでアクリル系樹脂とは、樹脂成分に少なくとも(メタ)アクリル系モノマーを共重合させた樹脂をいう。ここで(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブトキシカルボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。【0043】(メタ)アクリル系モノマー以外の共重合成分としては、炭素-炭素二重結合を有する化合物が使用可能である。そのような化合物としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレン若しくはp-ヒドロキシルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド若しくはN-ビニルピロリドン等のアミド系不飽和化合物、(メタ)アクリロニトリル、アリルアルコール、酢酸ビニル、シクロヘキシルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル又は4-ヒドロキシブチルビニルエーテルが挙げられる。【0044】バインダー樹脂(C)は、酸解離性基を有することが好ましい。酸解離性基とは、加熱下で酸の作用により、熱酸化分解および脱離する有機基である。このような酸解離性基を有することで、例えば、酸性雰囲気下、100~300℃で加熱することにより、酸解離性基が容易に熱酸化分解及び脱離し、本発明の樹脂組成物の硬化物が収縮して、該硬化物中の微粒子比率を上昇させ、機能をより向上させることができる。そしてその結果として、例えば微粒子が無機粒子(G)の場合、比抵抗10~1,000μΩ・cmの所望の導電性を得ることが容易となる。この場合、後述する光酸発生剤及び/又は熱酸発生剤を併用すると、その効果はさらに顕著となる。【0045】酸解離性基は炭素数4~15の有機基であることが好ましい。酸解離性基の炭素数が4以上であることで、脱離後、低温で気化するため、前記硬化物中に大きな気泡が発生して微粒子同士の接触を妨げることなく、機能がより向上する。酸解離性基の炭素数は好ましくは6以上である。一方、酸解離性基の炭素数が15以下であることで、脱離後、解離性基が前記硬化物中に残存して微粒子同士の接触を妨げることがなく、機能がより向上する。また、前記硬化物中に気泡が発生しても加熱によって消失させることが容易である。【0046】酸解離性基としては、例えば、tert-ブチル基、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジル基、メチルアダマンチル基又はテトラヒドロピラニル基が挙げられる。【0047】バインダー樹脂(C)は、酸解離性基を有する化合物を20~80モル%共重合した樹脂であることが好ましい。特に、バインダー樹脂(C)がアクリル系樹脂である場合、酸解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルをアクリル系樹脂中にモノマー成分として20~80モル%含有することが好ましい。【0048】本発明の樹脂組成物を感光性樹脂組成物として用いることは、微細な配線パターンを形成できるため好ましい。感光性樹脂組成物とするために、さらに後述の感光剤(D)を有し、バインダー樹脂(C)がアルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、スルホ基、リン酸基、酸無水物基等を挙げることができるが、特に反応性と汎用性の観点から、カルボキシル基が好ましい。【0049】バインダー樹脂(C)がアルカリ可溶性基を有するアクリル系樹脂であることが、組成設計の容易さより好ましい。バインダー樹脂(C)がアルカリ可溶性基を有するアクリル系樹脂である場合、アルカリ可溶性を付与する共重合成分であるカルボキシル基を含有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸若しくはフマル酸又はこれらの酸無水物が挙げられる。【0050】バインダー樹脂(C)のカルボン酸当量は、50~1,000g/molが好ましい。バインダー樹脂(C)のカルボン酸当量は、酸価を測定することで算出することができる。また、バインダー樹脂(C)の二重結合当量は、硬度と耐クラック性とを高いレベルで両立できるため、150~10,000g/molであることが好ましい。バインダー樹脂(C)の二重結合当量は、ヨウ素価を測定することで算出することができる。【0051】バインダー樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、1,000~100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)を上記範囲とすることで、良好な塗布特性が得られ、パターン形成する際の現像液への溶解性も良好となる。【0052】本発明の樹脂組成物を感光性樹脂組成物として用いる場合、感光性樹脂組成物の露光による硬化反応の速度を大きくするためには、バインダー樹脂(C)は側鎖又は分子末端に炭素-炭素二重結合を有する(メタ)アクリル系共重合体とすることが好ましい。炭素-炭素二重結合を有する官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基又は(メタ)アクリル基が挙げられる。このような官能基を(メタ)アクリル系共重合体に付加させるには、(メタ)アクリル系共重合体中のメルカプト基、アミノ基、水酸基又はカルボキシル基に対して、グリシジル基若しくはイソシアネート基と、炭素-炭素二重結合とを有する化合物又は(メタ)アクリル酸クロライド若しくはアリルクロライドを付加反応させる方法がある。【0053】グリシジル基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル又はグリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート又はグリシジルイソクロトネートが挙げられる。イソシアネート基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート又は(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。【0054】本発明の樹脂組成物において、バインダー樹脂(C)の含有量は、固形分100質量%とした場合に、1~30質量%の範囲内であることが好ましい。1質量%以上とすることで塗布に適した樹脂組成物の粘度に調整することができ、30質量%以下とすることで機能をより向上させることができる。【0055】[感光剤(D)]
本発明の樹脂組成物は、感光性樹脂組成物として用いる場合、微細なパターンを形成する観点から、感光剤(D)を含有することが好ましい。感光剤(D)を含有することで、樹脂組成物にポジ型あるいはネガ型の感光性を付与することができる。【0056】感光剤(D)としては、光重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤が好ましく用いられる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、α-アミノアルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、有機過酸化物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、トリアジン系化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、キノン化合物又はオキシムエステル系化合物が挙げられるが、少量の添加であっても感度の高い、オキシムエステル系化合物が好ましく、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系化合物がより好ましい。【0057】カルバゾール骨格を有さないオキシムエステル系化合物の具体例としては、1,2-プロパンジオン-3-シクロペンタン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]等が挙げられ、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系化合物の具体例としては、3-シクロペンチルエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)等が挙げられる。【0058】本発明の樹脂組成物において、光重合開始剤(D)の含有量は、バインダー樹脂(C)100質量部に対して、好ましくは1~50質量部の範囲である。【0059】光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などを挙げることができるが、キノンジアジド化合物がより好ましい。キノンジアジド化合物は、5-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有したもの、4-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有したものがあり、これらのいずれも好ましく用いられる。該キノンジアジドスルホン酸エステルは、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。本発明の樹脂組成物において、光酸発生剤の含有量は、バインダー樹脂(C)100質量部に対して、好ましくは1~50質量部の範囲である。【0060】光塩基発生剤としては、アミド化合物、アンモニウム塩などが挙げられる。【0061】アミド化合物としては、例えば、2-ニトロフェニルメチル-4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、9-アントリルメチル-N,N-ジメチルカルバメート、1-(アントラキノン-2イル)エチルイミダゾールカルボキシラート、(E)-1-[3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペノイル]ピペリジンなどが挙げられる。【0062】アンモニウム塩としては、例えば、1,2-ジイソプロピル-3-(ビスジメチルアミノ)メチレン)グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシルアミノ)メタニミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボラート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラートなどが挙げられる。【0063】本発明の樹脂組成物において、光塩基発生剤の含有量は、バインダー樹脂(C)100質量部に対して、好ましくは1~50質量部の範囲である。【0064】[分散剤]
本発明の樹脂組成物は、分散剤を含有しても構わない。分散剤を含有することで、樹脂組成物中に微粒子を安定的に存在させることができる。【0065】分散剤としては、アミン系のものが好ましい。市販のアミン系の分散剤としては、例えば、DISPERBYK(登録商標)142、145、161、167、180、2001、2008、2022、2150、6919又は21116(以上、いずれもビックケミー・ジャパン製)が挙げられる。【0066】さらに分散性を向上させるため、分散剤は、アクリル系ブロック共重合体構造を有することが好ましい。アクリル系ブロック共重合体構造を有する市販のアミン系の分散剤としては、例えば、DISPERBYK(登録商標)2001、2008、2022、2150、6919又は21116が挙げられる。【0067】本発明の樹脂組成物において、分散剤の含有量は、樹脂組成物中に微粒子と後述する他の粒子との合計100質量部に対し、1~10質量部が好ましい。分散剤の含有量をこの範囲とすることにより、樹脂組成物中に微粒子の分散が良好、且つ微細なパターン加工が可能であり、微粒子が導電性粒子(A)である場合には樹脂組成物中に導電性粒子(A)の接触及び融着が進み、より高い機能を得ることができる。【0068】[アクリルモノマー]
本発明の樹脂組成物は、感光性能を調整し、パターン加工性を向上する観点から、アクリルモノマーを、微粒子が導電性粒子(A)である場合には導電性粒子同士の接触及び融着を阻害しない範囲内で含有しても構わない。【0069】アクリルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート若しくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又はこれらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物若しくはアルキルエステル変性物が挙げられる。【0070】樹脂組成物中のアクリルモノマーの含有量は、バインダー樹脂(C)100質量部に対して、好ましくは10~200質量部の範囲である。【0071】[溶剤]
本発明の樹脂組成物は、溶剤を含有しても構わない。溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル又はアセチルアセトンが挙げられる。【0072】[重合禁止剤]
本発明の樹脂組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を適量含有することで、現像後の解像度が向上する。重合禁止剤としては特に限定はなく公知のものが使用でき、たとえば、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ハイドロキノン、4-メトキシフェノール、1,4-ベンゾキノン、t-ブチルカテコールが挙げられる。また、市販の重合禁止剤としては、「IRGANOX 1010」、「IRGANOX 245」、(以上、BASF製)等が挙げられる。【0073】[紫外線吸収剤]
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有することで、得られる硬化物の耐光性が向上し、パターン加工を必要とする用途では現像後の解像度が向上する。紫外線吸収剤としては特に限定はなく公知のものが使用できるが、透明性、非着色性の面から、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物が好ましく用いられる。【0074】[他の粒子]
本発明の樹脂組成物は、分散性向上や、導電性をコントロールするため、有機顔料(F)や無機粒子(G)以外の他の粒子を含有しても構わない。他の粒子としては、例えば、表面被覆されていない導電性粒子若しくは金属酸化物微粒子又は無機顔料が挙げられる。【0075】これら他の粒子の粒子径は、1~100nmが好ましい。粒子径が1nm以上であると、分散安定化のための分散剤の使用を少なくでき、微粒子が導電性粒子(A)である場合には導電性をより向上させることができる。一方で、粒子径が100nm以下であることにより、パターンの解像度が向上し、微細なパターン形成ができる。【0076】[熱酸発生剤及び光酸発生剤]
本発明の樹脂組成物は、熱酸発生剤を含有しても構わない。バインダー樹脂(C)が酸解離性基を有するバインダー樹脂である場合、発生した酸によって、酸解離性基の分解が促進され、空気下での熱処理温度を低下させることが可能となる。また、光酸発生剤を含有しても構わない。光酸発生剤は既述の通りである。【0077】熱により酸を発生する化合物である熱酸発生剤としては、例えば、SI-150L、SI-160L、SI-180L若しくはSI-200(以上、いずれも三新化学工業(株)製)、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2-メチルベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2-メチルベンジル-4-アセチルフェニルメチルスルホニウム若しくは2-メチルベンジル-4-ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム又はこれらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩若しくはp-トルエンスルホン酸塩が挙げられる。中でも4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2-メチルベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2-メチルベンジル-4-アセチルフェニルメチルスルホニウム若しくは2-メチルベンジル-4-ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム又はこれらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩若しくはp-トルエンスルホン酸塩が好ましく使用できる。【0078】本発明の樹脂組成物において、熱酸発生剤の含有量は、酸解離性基含を有するバインダー樹脂(C)中の酸解離性基の分解を促進し、無機粒子(G)同士の接触を妨げず、より高い機能を得るため、バインダー樹脂(C)100質量部に対し、好ましくは1~50質量部の範囲である。【0079】[増感剤]
本発明の樹脂組成物が光酸発生剤を含有する場合、樹脂組成物はさらに増感剤を含有しても構わない。増感剤は、熱処理により気化するもの、又は、本発明の樹脂組成物の硬化物に残存した場合においても、光照射によって退色するものが好ましく、パターン加工における高解像性の観点から、光照射によって退色するものがより好ましい。【0080】熱処理により気化する、又は、光照射によって退色する増感剤としては、例えば、3,3’-カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)等のクマリン、9,10-アントラキノン等のアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン若しくはベンズアルデヒド等の芳香族ケトン又はビフェニル、1,4-ジメチルナフタレン、9-フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9-フェニルアントラセン、9-メトキシアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(4-メトキシフェニル)アントラセン、9,10-ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン(DPA;川崎化成(株)製)、9,10-ジブトキシアントラセン(DBA;川崎化成(株)製)、9,10-ジペンタオキシアントラセン、2-t-ブチル-9,10-ジブトキシアントラセン若しくは9,10-ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセン等の縮合芳香族が挙げられる。【0081】熱処理により気化する増感剤としては、熱処理により昇華、蒸発又は熱分解による熱分解物が昇華若しくは蒸発するものが好ましい。増感剤の気化温度としては、乾燥温度では気化せず、熱硬化時に分解及び気化して、微粒子が導電性粒子(A)である場合には導電性粒子同士を接触及び融着させるため、150~300℃が好ましい。【0082】本発明の樹脂組成物において、増感剤の含有量は、光酸発生剤を感光するための増感効果が十分となり、微粒子同士の接触を妨げず、より高い機能を得るため、バインダー樹脂(C)100質量部に対し、0.001~20質量部が好ましく、0.005~15質量部がより好ましい。【0083】[可視光に吸収を有する顔料及び/又は染料]
本発明の樹脂組成物は、可視光に吸収を有する顔料及び/又は染料を、微粒子が導電性粒子(A)である場合には導電性粒子同士の接触及び融着を阻害しない範囲で含有しても構わない。樹脂組成物が可視光に吸収を有する無機顔料及び/又は染料を含有することより、加熱後のパターンの可視光反射を抑制できる。前記無機粒子(G)が無機顔料であることも好ましい。【0084】可視光に吸収を有する顔料としては、例えば、ラクタム系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、ジアミノアントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インダントロン系顔料、カーボンブラック又は無機顔料が挙げられる。【0085】青色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」)15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16又はPB60が挙げられる。紫色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下、「PV」)19、PV23又はPV37が挙げられる。赤色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」)149、PR166、PR177、PR179、PR209又はPR254が挙げられる。緑色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下、「PG」)7、PG36又はPG58が挙げられる。黄色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」)150、PY138、PY139又はPY185が挙げられる。黒色の顔料としては、例えば、HCF、MCF、LFF、RCF、SAF、ISAF、HAF、XCF、FEF、GPF若しくはSRF等のファーネスブラック、FT若しくはMT等のサーマルブラック、チャンネルブラック又はアセチレンブラック等のカーボンブラックあるいはラクタム系顔料(例えば、“Irgaphor”(登録商標)ブラックS0100CF;BASF社製)が挙げられる。中でも、耐熱性、耐光性及び可視光の吸収性に優れるカーボンブラックが好ましく、分散性の観点から、ファーネスブラック又はラクタム系顔料がより好ましい。【0086】本発明の樹脂組成物において、可視光に吸収を有する顔料の含有量は、組成物中の全固形分に対し、0.1~10質量%が好ましい。【0087】可視光に吸収を有する染料としては、例えば、フェロセン系染料、フルオレノン系染料、ペリレン系染料、トリフェニルメタン系染料、クマリン系染料、ジフェニルアミン系染料、キナクリドン系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料又はキサンテン系染料が挙げられるが、耐熱性、耐光性及び可視光の吸収性に優れる黒色染料が好ましく、VALIFAST(登録商標) Black 1888、VALIFAST(登録商標) Black 3830、NUBIAN(登録商標) Black PA-2802又はOIL Black 860が好ましい。【0088】本発明の樹脂組成物において、可視光に吸収を有する染料の含有量は、組成物中の全固形分に対し、0.1~10質量%が好ましい。【0089】[密着改良剤]
本発明の樹脂組成物は、化合物(B)以外にも、さらに密着改良剤を含有できる。密着改良剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン又は3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。【0090】[界面活性剤]
本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、界面活性剤を含有しても構わない。【0091】界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート若しくはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド若しくはラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル若しくはソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が挙げられる。【0092】本発明の樹脂組成物において、界面活性剤の含有量は、塗布性及び塗膜表面の均一性を良好にするため、組成物全体に対し、0.001~10質量%が好ましい。界面活性剤の含有量が0.001質量%以上であることで、塗布性及び塗膜表面の均一性が向上する。界面活性剤の含有量は0.01質量%以上がより好ましい。一方、界面活性剤の含有量が10質量%以下であることでハジキや凹み等の塗膜欠陥や、粒子の凝集を抑制することができる。【0093】本発明の配線基板は、導電性粒子(A)を含有する本発明の樹脂組成物の硬化物からなる導電性パターンを具備することが好ましい。本発明の配線基板の基材は、透明基板であることが好ましい。透明基板としては、ガラス基板、樹脂フィルムが挙げられる。パターン形成時に現像液が浸透しやすく、残渣を抑制する観点より、透明基板としては、ガラス基板であることが好ましい。ガラス基板としては表面にSiO2層またはSiO2層を含むガラス基板、無アルカリガラス基板等があげられる。樹脂フィルムとしては、ポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾオキサゾール、アラミド、ポリスルホンおよびエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種からなるフィルム等が挙げられる。樹脂フィルムの表面にSiO2層を含んでいてもよい。これらを基材として用いることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる導電性パターンとの密着性の高い配線基板を得ることができる。【0094】また、本発明の配線基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる導電性パターンに加え、有機成分を含む膜を有していても良い。導電性パターンを保護する観点から、有機成分を含む膜は導電性パターンの上部に形成することが好ましい。有機成分を含む膜を有することで、外力などによるキズを防ぐことができ、信頼性の高い配線基板を得ることができる。【0095】また、本発明の配線基板は、タッチパネル用部材として好適に用いることができる。タッチパネル用部材として用いる場合、メッシュ状に配置したタッチセンサ配線とタッチセンサ配線を接続する引回し配線に用いることができる。さらに、タッチセンサ配線と引回し配線を同時に形成することも好ましい。本発明の配線基板の基材をカバーガラスとして用いても良いし、本発明の配線基板上にOCAを介してカバー材を貼合しても良い。【0096】本発明の配線基板は、前記導電性パターンの幅が1~6μmであることが好ましい。導電性パターンの幅が1μm以上であることで、異物などによる欠陥の影響を受けにくく、所望の形状の導電性パターンを形成することができる。一方、導電性パターンの幅が6μm以下であることにより配線が視認されにくくなる。導電性パターンの幅は4μm以下がより好ましい。【0097】本発明の配線基板は、さらに黒色層を有することが好ましい。黒色層を有することで、配線パターンの反射率を低減して外光反射を抑制できると共に、配線見えを抑制し視認性を大幅に向上できる。黒色層の形成方法としては、配線パターンを形成した後に黒色ポジ型感光性組成物を全面に塗布し、基材面から配線パターンを介して露光することで、配線パターン上部を残して現像液可溶とし、現像により除去する方法が挙げられる。【0098】[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、微粒子、化合物(B)、並びにバインダー樹脂(C)を混合させた後、ボールミルや、サンドグラインダー、3本ロールミル、マイルド分散機、メディアレス分散機等の分散機を用いて製造される。微粒子を均一に分散したい場合は、分散剤を用いて、予め有機溶剤中に微粒子を分散させた分散液を調製し、この分散液を、モノマー、ポリマー、密着改良剤、界面活性剤及び重合禁止剤等を含有する溶液と混合する方法により製造しても良い。特に、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)の分散液は、表面被覆層が損傷を受けるのを防ぐために、マイルド分散機又はメディアレス分散機を用いて分散させることが好ましく、メディアレス分散機を用いて分散させることがより好ましい。炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)の分散液は、例えば、マイルド分散機ナノゲッター(登録商標)(アシザワファインテック(株))又は高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))等の分散機を用いて、有機溶剤中に炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)を分散させて製造される。【0099】[導電性および着色パターンの製造方法]
本発明の導電性パターンの製造方法は、本発明の樹脂組成物を基板上に所望のパターン形状となるように塗布して塗布膜を得る塗布工程と、前記塗布膜を乾燥して乾燥膜を得る乾燥工程と、前記乾燥膜を加熱して導電膜を得る加熱工程と、を備える。【0100】本発明の導電性パターンの製造方法は、本発明の樹脂組成物を基板上に所望のパターン形状となるように塗布して塗布膜を得る塗布工程を含む。【0101】塗布工程で用いる基材としては、例えば、シリコンウエハー、セラミックス基板又は有機系基板が挙げられる。セラミックス基板としては、例えば、ソーダガラス、表面にSiO2をスパッタリングしたソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス若しくは石英ガラス等のガラス基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板又は炭化ケイ素基板が挙げられる。有機系基板としては、例えば、エポキシ基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムが挙げられる。【0102】本発明の樹脂組成物を基材面上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、カレンダーコーター若しくはメニスカスコーターを用いた塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布又はディップコートが挙げられる。【0103】本発明の導電性パターンの製造方法は、塗布膜を乾燥して乾燥膜を得る乾燥工程を含む。【0104】乾燥工程における乾燥方法としては、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機(オーブン)、減圧乾燥、真空乾燥又は赤外線照射による乾燥が挙げられる。【0105】乾燥の温度及び時間は、樹脂組成物の組成や、乾燥する塗布膜の膜厚によって適宜決定すればよいが、50~150℃の温度範囲で10秒~30分加熱することが好ましい。【0106】中でも、ホットプレート又は熱風乾燥機(オーブン)での加熱と、減圧乾燥とを併用することが、塗布膜が含有する樹脂の熱硬化を抑制しながら、溶剤を乾燥除去できるため、好ましい。減圧乾燥の到達圧力としては、5~200Paが好ましく、10~100Paがより好ましい。【0107】本発明の導電性パターンの製造方法は、乾燥膜を加熱して導電膜を得る加熱工程を含む。【0108】樹脂組成物の乾燥膜を加熱することで導電性を得ると同時に、化合物(B)がアミノ基を有するようになり、炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)の被覆層と相互作用するため、基材との密着性が向上する。【0109】加熱工程における加熱方法としては、乾燥工程と同様のものが挙げられる。加熱の雰囲気、温度及び時間は、樹脂組成物の組成や、加熱する塗布膜の膜厚によって適宜決定すればよいが、空気中、100~300℃の温度範囲で、5~120分加熱することが好ましい。150~270℃がさらに好ましく、より好ましくは、160~260℃の温度範囲で、30~120分の加熱である。【0110】また、前述の乾燥工程と加熱工程の間に、前記乾燥膜を露光して露光膜を得る露光工程と、前記露光膜を現像してパターンを形成する現像工程を備え、フォトリソ法により導電性パターンを形成することも好ましい。この場合、露光工程では化合物(B)はアミノ基を有さず、無機粒子(G)と反応しないため、続く現像工程において現像液溶解性が良好であり現像残渣のない良好なパターンを形成できる。パターン形成した後、加熱工程においてアミノ基が発現し、基材との密着性を向上できる。【0111】露光工程で用いる光源としては、例えば、水銀灯のj線、i線、h線又はg線が好ましい。【0112】現像工程でアルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム若しくはアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン若しくはn-プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン若しくはジ-n-プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン若しくはメチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類又はピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン若しくはモルホリン等の環状アミン類等の有機アルカリ類が挙げられるが、これらにエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド又はN-メチル-2-ピロリドン等の水溶性有機溶剤を適宜加えても構わない。【0113】また、より良好な導電性パターンを得るため、これらのアルカリ性現像液にさらに非イオン系界面活性剤等の界面活性剤を0.01~1質量%添加することも好ましい。【0114】導電性パターンを基板上にメッシュ状に形成すれば、タッチパネル、液晶若しくは有機EL等のディスプレイパネル又はウェアラブル端末等が具備する、透明導電配線として使用することができる。【0115】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成例及び実施例に用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド。【0116】まず、実施例及び比較例で用いた材料について説明する。【0117】[有機顔料(F)]
(F-1)スルホン酸基により表面が修飾されたカーボンブラック(キャボット製TPK1227)。【0118】(F-2)特殊な表面処理を行っていないカーボンブラック(三菱ケミカル製MA-100)
[炭素を含む被覆層を有する無機粒子(G)]
(A-1)該被覆層の平均厚みが3nmで、1次粒子径が50nmの銀粒子(日清エンジニアリング株式会社製)。濃度1質量%の水の懸濁液のpHが8.0。【0119】(A-2)該被覆層の平均厚みが3nmで、1次粒子径が40nmの銀粒子(日清エンジニアリング株式会社製)。濃度1質量%の水の懸濁液のpHが4.5。【0120】(A-3)1次粒子径が200nmの銀粒子(品名:DJA03N;東洋化学工業株式会社製)。濃度1質量%の水の懸濁液のpHが5.0。炭素を含む被覆層なし。【0121】[一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B)]
(B-1)KBM-585:3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)
(B-2)KBE-585:3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製)
(B-3)KBE-9007:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製)
(B’-4)KBE-903:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製)。【0122】[バインダー樹脂(C)]
(C-1)
500mlのフラスコにAIBNを2.0g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を38.7g、ベンジルメタクリレートを79.3g、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン-8-イルメタクリレートを22.0g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを21.3g、ジメチルベンジルアミンを1g、p-メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、得られたアクリルポリマー溶液に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加え、バインダー樹脂(C-1)の溶液を得た。GPC法により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量Mwは18,000であった。【0123】(C-2)
500mlのフラスコにAIBNを1.5g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を38.7g、スチレンを46.9g、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン-8-イルメタクリレートを22.0g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを21.3g、ジメチルベンジルアミンを1g、p-メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、得られたアクリルポリマー溶液に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加え、バインダー樹脂(C-2)の溶液を得た。GPC法により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量Mwは14,000であった。【0124】[分散剤]
DISPERBYK(登録商標)21116(ビックケミー・ジャパン株式会社製)。【0125】[溶剤]
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(三協化学(株)製)
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東邦化学工業(株)製)。【0126】[光重合開始剤]
NCI-831E(登録商標)(オキシムエステル系化合物;ADEKA(株)製)。【0127】[アクリルモノマー]
ライトアクリレート(登録商標)PE-3A(共栄社化学(株)製)。【0128】ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DPHA)。【0129】[ポジ型フォトレジスト]
(P-1)
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF;セントラル硝子(株)製)29.3g(0.08モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3-アミノフェノール3.27g(0.03モル)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)150gに溶解した。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA;マナック(株)製)31.0g(0.1モル)をNMP50gとともに加えて、20℃で1時間撹拌し、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、ポリイミド樹脂を得た。【0130】また、別途、乾燥窒素気流下、TrisP-HAP(本州化学工業(株)製)、15.3gと5-ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.3gを1,4-ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4-ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.2gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩をろ過し、濾液を水に投入させた。その後析出した沈殿を真空乾燥機で乾燥し、キノンジアジド化合物を得た。【0131】得られたポリイミド樹脂11.0g、キノンジアジド化合物4.0g、乳酸エチルを63.75g及びPGMEA21.25gを100mlのPPボトルに加え、撹拌した。次に、0.2μmのフィルターでろ過を行い、ポジ型フォトレジスト(P-1)を得た。【0132】[基板]
(S-1)表面にSiO2をスパッタリングしたガラス基板(TU060;TOKEN社製)
(S-2)無アルカリガラス基板(OA-10G;日本電気硝子株式会社製)
(S-3)ポリイミドフィルム(ネオプリム;三菱ガス化学株式会社製)。【0133】実施例1~14、比較例1~3
<導電性評価>
樹脂組成物1については、(S-1)基板上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、500rpmで1秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で5分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、樹脂組成物1からなるベタ膜を得た。得られたベタ膜上に、ポジ型フォトレジスト(P-1)をスピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、1000rpmで5秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で2分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。プリベーク膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製「PLA-501F(商品名)」)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介して露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、2.38wt%TMAH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。得られた基板を濃度55%硝酸第2鉄水溶液へ浸漬させることでエッチングし、露光、現像することでレジストを剥離した。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、体積抵抗率評価パターンを得た。【0134】樹脂組成物2~17については、(S-1)~(S-3)各基板上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、500rpmで1秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で5分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。プリベーク膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製「PLA-501F(商品名)」)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介して露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、0.07wt%TMAH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、体積抵抗率評価パターンを得た。【0135】得られた体積抵抗率評価パターンについて、表面抵抗測定機(ロレスタ(登録商標)-FP;三菱油化株式会社製)で測定した表面抵抗値ρs(Ω/□)と、表面粗さ形状測定機(サーフコム(登録商標)1400D;株式会社東京精密製)にて測定した膜厚t(cm)とを測定し、両値を乗算することで、体積抵抗率(μΩ・cm)を算出した。【0136】<密着性評価>
樹脂組成物1については、(S-1)上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、500rpmで1秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で5分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、樹脂組成物1からなるベタ膜を得た。【0137】樹脂組成物2~17については別途、(S-1)~(S-3)各基板上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、500rpmで1秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で5分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。プリベーク膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製「PLA-501F(商品名)」)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、マスクを介さずに露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、0.07wt%TMAH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、樹脂組成物2~17それぞれの樹脂組成物からなるベタ膜を得た。【0138】得られたベタ膜について、基材との密着性を評価した。具体的には、JIS K5600-5-6(1999年)に準拠して、5B~0Bの6段階評価(数字が大きい程、密着性が高い)によるクロスカット試験を行った。なお、密着性が2B以下であると、硬化物の剥離によるタッチパネルの動作不良等を引き起こしかねないため、密着性は3B以上であることが好ましく、4B以上であることがより好ましい。【0139】<パターニング性評価>
樹脂組成物2~17を、(S-1)~(S-3)各基板上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-360S(商品名)」)を用いて300rpmで10秒、500rpmで1秒の条件でスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で5分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。プリベーク膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製「PLA-501F(商品名)」)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介して露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、0.07wt%TMAH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。露光、現像後、5μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量における現像後の最小パターン寸法を測定し、解像度とした。露光量はI線照度計で測定した。【0140】<基板上残渣評価>
上記の樹脂組成物2~17による体積抵抗率評価パターンが形成された基板の未露光部分について、透過率評価により、基板上の残渣を評価した。具体的には、未露光部分について、膜形成前後の400nmにおける透過率を、分光光度計(U-3410;日立製作所株式会社製)を用いて測定した。そして、膜形成前の透過率をT0、膜形成後の透過率をTとしたときに、式(T0-T)/T0×100で表される透過率変化を算出した。透過率変化が1.0%以下である場合は、残渣抑制の効果が十分であると判断した。【0141】(実施例1)
炭素を含む被覆層を有する導電性粒子(A-1)80.00g、DISPERBYK21116を2.00g、PGMEA100.00g、DPM100.00gに対し、ホモジナイザーにて、1200rpm、30分の混合処理を施し、さらに、高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))を用いて分散して、銀粒子分散体を得た。この銀微粒子分散体282.00gに対し、一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B-1)0.50g、固形分濃度40質量%のバインダー樹脂(C-1)を43.75g混合したものに、PGMEA73.75g、DPM100.00gを添加し撹拌することにより、樹脂組成物1を得た。【0142】導電性及び密着性評価の結果を、表1に示す。【0143】(実施例2)
まず、炭素を含む被覆層を有する導電性粒子(A-1)80.00g、DISPERBYK21116を2.00g、PGMEA100.00g、DPM100.00gに対し、ホモジナイザーにて、1200rpm、30分の混合処理を施し、さらに、高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))を用いて分散して、銀粒子分散体を得た。この銀微粒子分散体282.00gに対し、一般式(1)で表される構造及び熱によりアミノ基を生じる官能基を有する化合物(B-1)0.50g、固形分濃度40質量%のバインダー樹脂(C-1)を25.00g、(D)感光剤であるNCI-831Eを1.50g、PE-3Aを6.00g混合したものに、PGMEA85.00g、DPM100.00gを添加し撹拌することにより、樹脂組成物2を得た。【0144】パターニング性、導電性、基板上残渣及び密着性評価の結果を、表1に示す。【0145】(実施例3~14及び比較例1~3)
実施例2と同様の方法で、表1~2記載の組成の感光性樹脂組成物3~17を得て、それぞれの感光性樹脂組成物について表1~2記載の基板上で実施例2と同様の評価をした。評価結果を、表1~2に示す。【0146】(実施例15~19、比較例4~5)
(着色樹脂組成物1)
スルホン酸基により表面が修飾されたカーボンブラック(キャボット製TPK1227)300g、アクリルポリマー(C-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40重量%溶液150g、高分子分散剤として3級アミノ基と4級アンモニウム塩を有する“DISPERBYK”(登録商標)LPN-21116を37.5gおよびPGMEA1012.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.05mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した寿工業(株)製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度8m/sで3時間分散を行い、固形分濃度25重量%、着色材/樹脂(重量比)=80/20の着色材分散液Bk-1を得た。【0147】カーボンブラック分散液Bk-1(822.6g)に、アクリルポリマー(C-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量%溶液(344.5g)、密着性改良剤として信越化学(株)製KBM-585(7.5g)、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10重量%溶液(4.0g)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(218.5g)に溶解した溶液を添加し、着色樹脂組成物1を得た。【0148】(着色樹脂組成物2)
スルホン酸基により表面が修飾されたカーボンブラック(キャボット製TPK1227)300g、アクリルポリマー(C-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40重量%溶液150g、高分子分散剤として3級アミノ基と4級アンモニウム塩を有する“DISPERBYK”(登録商標)LPN-21116を37.5gおよびPGMEA1012.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.05mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した寿工業(株)製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度8m/sで3時間分散を行い、固形分濃度25重量%、着色材/樹脂(重量比)=80/20の着色材分散液Bk-1を得た。【0149】カーボンブラック分散液Bk-1(822.6g)に、アクリルポリマー(C-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量%溶液(117.3g)、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DPHA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(92.7g)、光重合開始剤としてADEKA(株)“アデカクルーズ”NCI-831(11.6g)、密着性改良剤として信越化学(株)製KBM-585(7.5g)、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10重量%溶液(4.0g)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(218.5g)に溶解した溶液を添加し、着色樹脂組成物2を得た。【0150】(着色樹脂組成物3~7)
着色樹脂組成物2と同様の方法で、表3記載の組成の着色樹脂組成物3~7を得た。【0151】<保存安定性評価>
上記の着色樹脂組成物1~7については、着色樹脂組成物の調製直後の粘度および着色樹脂組成物を室温(30℃)で1週間放置した後の粘度を粘度計(東機産業製RE105L)で25.0±0.2℃に温度設定し、回転数50rpmにて測定し、その粘度変化率を算出した。粘度変化率が15%以上のものは保存安定性が不良と判断した。【0152】<密着性評価>
着色樹脂組成物1を(S-2)上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-DS(商品名)」)を用いてスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で10分間プリベークし、プリベーク膜を得た。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、厚み1.5μmの着色樹脂組成物1からなるベタ膜を得た。【0153】着色樹脂組成物2~7については別途、(S-2)上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-DS(商品名)」)を用いてスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で10分間プリベークし、プリベーク膜を得た。プリベーク膜をマスクアライナー(ユニオン光学(株)製)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、マスクを介さずに露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、0.045質量%KOH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、オーブン(「IHPS-222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、着色樹脂組成物2~7それぞれの樹脂組成物からなる厚み1.5μmのベタ膜を得た。【0154】得られたベタ膜について、基材との密着性を評価した。具体的には、JIS K5600-5-6(1999年)に準拠して、5B~0Bの6段階評価(数字が大きい程、密着性が高い)によるクロスカット試験を行った。なお、密着性が2B以下であると、硬化物の剥離によるタッチパネルの動作不良等を引き起こしかねないため、密着性は3B以上であることが好ましく、4B以上であることがより好ましい。【0155】<パターニング性評価>
着色樹脂組成物2~7を、(S-2)上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H-DS(商品名)」)を用いてスピンコートし、基板をホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW-636(商品名)」)を用いて100℃で10分間プリベークし、プリベーク膜を得た。プリベーク膜をマスクアライナー(ユニオン光学(株)製)を用いて超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介して露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD-1200(商品名)」)を用いて、0.045質量%KOH水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。露光、現像後、5μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量における現像後の最小パターン寸法を測定し、解像度とした。露光量はI線照度計で測定した。【0156】各評価の結果を、表3に示す。【0157】【表1】
【0158】【表2】
【0159】【表3】
【産業上の利用可能性】
【0160】本発明の樹脂組成物は、タッチパネル、ディスプレイ、イメージセンサー、有機エレクトロルミネッセンス照明又は太陽電池等に用いられる導電性パターンおよび着色パターンの形成に、好適に利用できる。
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